今年一年お世話になりました
2024年12月31日
今年もいよいよ大晦日を迎えました。私にとって慌ただしく、貴重な体験をさせていただいた年でした。
【農林水産大臣拝命と能登半島地震】
昨年の12月14日、突然農林水産大臣を拝命いたしました。政治資金不記載問題で、前の大臣が辞任したための登板でした。まずは農政の憲法と言われる「食料・農業・農村基本法」の25年ぶりの改正が待つ国会の直前でした。その勉強に追われていた矢先、今年の1月1日に、能登半島地震が発生しました。海岸線が隆起するというかつてないほどの地殻変動がありました。50を超す漁港が大きな被害を受けました。棚田をはじめとする水田や畑地、森林も大きな被害を受けました。農林水産大臣として早急な復旧が求められ、特にお米は今年の作付けが心配な状況でした。
2月に現地視察に行きましたが、道路が寸断され、ヘリでの視察となりました。低空飛行で現場を見ましたが、漁港も田んぼも森林も無残なほど崩れていました。動けなくなり横倒しの漁船が至る所に見られました。以来4回の現地視察をしましたが行くたびに皆さんのご努力で復旧が進んでいる姿を目の当たりにしました。
水田は田植えまでに6割以上作付けが可能となりました。輪島漁港はカニ漁が年間漁獲高の多くを占めます。その解禁日が11月6日です。解禁日までに復旧を間に合わせることが大きな使命でしたが、何とか間に合い、カニ漁に出航する漁船のニュースを見て胸をなでおろしました。
熊本地震の復旧・復興と違い、半島という地形的な特徴がありこの後も難航しそうですが私たちは熊本地震の経験も踏まえて完全復活まで全力で支援して参ります。
【令和の米騒動発生】
8月はコメがスーパーの棚から無くなるという「令和の米騒動」がありました。これは南海トラフ地震の注意報が出されたことなどから、皆さんが一斉にコメの購入をされたことから発生したものでした。8、9月はいつも前年産米から本年産の新米に切り替わる時期です。通常でも品薄の時期にコメの一斉購入が拍車をかけました。またインバウンドがこれまでになく多く、外国人観光客の方々のコメ消費もそれに輪をかけました。
政府が緊急時のために備蓄している「政府備蓄米」を放出せよ、という声が上がりましたが、この時期に政府米を放出すれば、新米出荷時期と重なりコメが暴落することは目に見えていました。このため私は週2回の閣議後の記者会見のたびに「あと1ヶ月もすれば新米が出回り価格は落ち着いてくる」と呼びかけました。しかし消費者の反発は強く、私の事務所には毎日30件ほどの電話があり、秘書たちは対応に追われました。
【G20、G7農業大臣会合での世界の課題】
9月にG20農業大臣会合のため、ブラジルに行きました。会場となったのはブラジル・サンパウロから奥地へ1500㎞ほど行ったクイアバというリゾート地でした。最も印象に残ったのは地球温暖化による農地の劣化、作物の不作を各国が報告したことです。干ばつなどによる農作物の不作、そして山林火災は深刻な問題となっています。続いてイタリア・シチリアで開催されたG7農業大臣会合にも参加しました。ここでも気候変動は問題でしたが、アフリカへの食料支援、農業支援が大きなテーマとなりました。食料争奪はアフリカの途上国で起きています。紛争ぼっ発も含めて食料供給体制をどのようにしていくか、は世界の今後の課題です。
【大臣終了後の国会対策委員長】
農林水産大臣の役割を10月上旬で終えましたが、その後石破総理の誕生とともに、自民党の国会対策委員長という大役を仰せつかることになりました。9日間という短い臨時国会を開き、衆議院の解散総選挙となりましたが、選挙で自民党は敗北し、かろうじて政権は維持したものの、過半数に達しない少数与党となりました。野党が結束すれば法案や予算案がすべて否決されるという厳しい国会の中での国対委員長は毎日が緊張の連続でした。しかし、何とか補正予算案を提出した臨時国会を3日間延長はしましたが、乗り切ることが出来ました。周囲のスタッフの皆さんに感謝です。
【来年の国会へ、更なる試練】
さて来年は1月下旬から通常国会が150日間の日程で開かれます。115兆円の当初予算案も政府から発表されました。私の第一の使命はこの当初予算案を令和6年度いっぱいに成立させることです。過半数を持つ野党の皆さんは手ぐすねを引いて待っておられます。今年7月には参議院議員選挙も実施されることから延長はできません。まさにがけっぷちに立つ思いで年明けの国会を迎えます。責任重大です。
しかし、しっかりとした予算案と法案をこれからの日本のために作りあげる、という強い覚悟を持って臨みます。前に進むことを考えて多くの方々の協力も求めていきます。「責任ある国会運営」「結果を出す国会」「国民の皆さんとの信頼関係を築く国会」を胸に、全力で仕事にあたって参ります。
来年もよろしくお願いいたします。
【写真は熊本大津事務所の正面です】