総理、農業への5年間重点予算を明言

2024年06月30日

 

29日(土)は山梨県に出張しました。朝10時4分、新宿駅発「特急あずさ83号」に乗りまずは山梨市駅へ。山梨市では山梨県の「果樹試験場」を視察しました。

サトウキビ粕をマルチに
17ヘクタールの傾斜地一帯にブドウや桃などの果樹が植えられており、ハウスの実験棟も数多く建っていました。高低差が100m、まさに日本を代表する果樹の試験場であると実感しました。

シャインマスカットを試験栽培しているハウスでは地面にはサトウキビの粕をマルチとして敷いてあり驚きました。普通は敷き藁(しきわら)ですが、試験場長のお話だと「ハウス栽培はどうしても露地栽培より日照時間が少なく糖度も減少しがちになる。栽培技術としては露地栽培より難しい。そこで様々な工夫をするが、マルチにサトウキビの粕を敷くのもその一つ。早朝に光合成が始まり、植物はCO2を欲しがるが、その時に炭酸ガスを出してくれるのがサトウキビの粕である」と教えていただきました。

様々なデータを採取
粒に張りが出て糖度も18度と高まる。収量も10アール当たりの収量が1.3tから1.8tに上がったという事でした。それだけではなく土壌とたい肥のバランス、かん水の仕方、一方で地中からの給水を絞ることで糖度を高める、などデータを駆使しながら、ハウスシャインマスカットのさらなる品質向上に努められていました。既に人気商品となっている「シャインレッド」という新たな品種の葡萄にも期待が寄せられていました。

完璧な省力化とデータ化
次は北杜市にある「農業法人株式会社アグリサイト」というトマト栽培工場視察でした。ここで岸田総理が山梨県の半導体関連企業の視察を終えて、一緒に視察というスケジュールでしたので総理をお出迎えしました。

「農業法人株式会社アグリサイト」は2.5ヘクタールのハウスでトマトを栽培生産する工場で、徹底した省力化、データ化、その他のスマート化が実践されていました。「立ち続けさせない」「歩かせない」「しゃがまない」を合言葉に、定植から栽培、収穫、選別、袋詰め、運送までほとんどを少人数で行うだけでなく、施肥などもデータに基づき10アール当たりの収穫量も露地に比べてはるかに高い、という事でした。

新たなスマート農業として全国展開
親会社は、金融界から農業生産法人を起業された田中進さん(52)が2004年に創設した「サラダボウル」です。アグリサイトと同様の農園を全国に12か所展開されています。就職希望者も多く正規の社員として採用されるためには十数倍の競争率の様でした。新たな農業法人の一つの例でもあります。

岸田総理の農業への熱意
岸田総理と一緒にハウス内を回り、試食もさせていただきました。総理は視察後のぶら下がり会見で「農業については食料・農業・農村基本法の成立を受けて、この5年間重点的に予算を支援していく。スマート農業に向け、新たな支援措置を検討する」と発言をされました。私としてはかなり思い切った発言をしていただいたと、意を強くしたところです。

先人の努力に感謝
今回の視察でもっとも感じたことは、山梨県は平地がほとんどない中で、傾斜地を活用して余すところなく「ブドウ園」「桃園」「すもも園」が展開され、フルーツ王国を築いていることに驚きました。世界農業遺産にも指定されていますが、先人の苦労と研究への情熱に心打たれました。北海道から九州・沖縄まで日本の農業は気候や土地や雨量などを計算して本当に緻密に展開されたそれぞれの地域農業が存在することに改めて感服しました。一方でアグリサイトのような新たな農業形態も進んでいます。

日本農業は期待できる!
日本の農業は期待できる、自信をもって世界にもっと広められる、という確信を持ちました。基本法や関連法を受けて、まずは農業者の所得向上、農業生産性の拡大、我が国で生産できる農産物はしっかりと生産する、という事を実践していけば、楽しくやりがいのある日本農業は実現できます。若者・女性に期待される農業をつくり上げていくことがこれまで努力されてきた先人に対する我々の責務であることを痛感しました。

写真はブドウ栽培ハウスの中で県試験場長の話を聞く私(上)、アグリサイトで収穫したトマト、リーフレタスを見る岸田首相と私