テレビ討論で日本農政の課題明らかに

2023年12月17日


17日(日)、午前9時20分からNHKの「日曜討論」に出演しました。テーマは「私たちの『食』をどう守る?」です。農林水産大臣として政府の考え方を述べる立場としての出演でした。
番組は午前9時から始まり1部が林芳正官房長官に現在の政治状況に対する考えをスタジオで述べてもらうキャスターとの対談方式。
私はそのあと9時20分からの第2部で討論形式の1時間。東京大学の2人の教授など農業の専門家の方々との討論でした。

政治に対する不信を政策の力で取り戻す
討論会はNHKが2回にわたって放送した「米」と「酪農」の特集番組をもとに、わが国の農業や担い手、食料の供給体制をどうするかという視点で進められました。
まず、キャスターから私に「政治に対する厳しい目が向けられている昨今の情勢下で農林水産大臣に就任し、今後どのように農政を進めていくのか」と質問がありましたので、私は「国民の皆さんの政治に対する不信感が強い事はしっかりと受け止め襟を正して活動していかなければならない。それは政策を一つ一つ正しく実行していく事で信頼を取り戻さなくてはならない」と答えました。

討論者のプレゼンに政府として答える】
そして討論に入りました。キャスターから➊日本の「食」と「農業」の課題➋農業人口の減少・高齢化が進む中で担い手をどうするか➌収益向上へ何が必要か➍食料安全保障への考えと肥料、穀物などの安定供給➎農業への所得補償は?➏「食料・農業・農村基本法」をどう見直すか、の課題を一つ一つ聞かれ私以外の有識者の方がそれに対しての意見を述べ、最後に私が政府としての対応を答える、というパターンでした。

さすがに専門家のプレゼンテーション
皆さん学者の立場から、ビジネスとしての農業の立場から、消費者と生産者を結び付ける視点から、課題を追うジャーナリストとしての立場からなど、様々な視点からプレゼンテーションがありました。さすがに専門家だけになるほど、とうなずく様な発言ばかりでした。
最も盛り上がったのは、担い手の確保と育成について、農業の規模拡大について、所得補償、生産者が希望する価格転嫁と消費者の受け止めなどでした。特に今後20年間で基幹的農業従事者が4分の1になると予測される担い手については、次代の農業人材を育成しなければ農業の持続性が危ぶまれるとの危機感を共有しました。このほか、農業の規模については米や畜産などは規模拡大は重要ではあるが、それぞれの地域等によって状況が異なること、収益向上については食品・農産物の適正な価格形成が必要であり、また、状況に応じてセーフティネットをはじめとする国の支援が重要であることで一致しました。
生産者と消費者の相互理解は今後ネット等を駆使しながらお互いの理解醸成に努めていく以外にない、という意見が多かったように思います。

「食料・農業・農村基本法」に取り組む姿勢】
最後にキャスターから「来年の通常国会に食料・農業・農村基本法を提出される予定だが大臣としてどう取り組むのか」と聞かれ、私は「国土を守る安全保障と経済を守る安全保障と同じレベル若しくは、もっと重要なレベルで食の安全保障を前面に出した法案になるので、しっかりと農業の持つ意味を国民の皆様に知って頂き今後国家として何をしていけばいいのか、という事を明確にしていきたい」と答えました。
有意義な討論会】
いずれの参加者のプレゼンも傾聴に値するものばかりでした。しっかりと今後も有識者や現場の農家、国民の皆さんと意見交換を進めながら農政改革元年と考え政策を進めます。この日曜討論で出てきた課題を少しでも解決することが、今後の日本農業の将来につながる、と確信しました。
大変意義のある中身の詰まった討論会でした。

写真は日曜討論、ナマ放映現場