凡事徹底(ぼんじてってい)

2023年06月18日


 6月28、29の両日、国会議員で結成する「国立公園レンジャー振興議員連盟」のメンバー5人で北海道の最北端利尻山(1721m)に登山する予定でした。行きの登山6時間、下山4時間、朝2時出発の強硬スケジュールです。これだけの登山は久しぶりですので、この1か月間ランニングをして鍛えてきました。また近くの山にも短時間ですけれど登ってきました。
登山具もトレッキングシューズ、ストック、寒さに備えた防寒具、雨具、簡易トイレなどを買い込み、準備万端整えました。

【利尻登山直前の訓練登山】
 17日(土)、前日に内閣不信任案が野党から出ましたが粛々と否決し、解散もなかったため最後の訓練と思い、近くの登り慣れた「俵山」(1095m)に登る事にしました。午後からは来客等がある日程でしたので、朝4時に自宅を出発、暗い中キャップライトをつけて午前4時30分から登り始めました。途中、夜が明けて快適な気分です。登り約3時間を予定していましたが、休憩も1回とったのみで午前7時前には山頂に到達しました。まだ誰もいない一番乗りです。快適そのものです。途中コンビニから買ったおにぎりとサンドイッチを食べ、7時半過ぎには下山を開始しました。

下山で登山道でない近道を選択】
 下山の途中、もっと早く出発点に帰ろうと思い、登山道でない山中を一気に降りることにしました。「しばらく行けば草原に出るはずだ。一気に下れば時間の節約ができる」そう考えての行動でした。しかし行けば行くほど予想外のうっそうとした深山になりました。沢になっていましたので沢に沿って下山しましたが。徐々に急傾斜になります。十分に注意して下りていたはずですが、足が滑り滑落しました。止めようにも加速し止まりません。15mほど滑落したでしょうか、大きな石に腰を打ちやっと止まりました。暫く息が出来ませんでした。ろっ骨をやられたな、と感じました。ストックもタオルもどこに行ったか分かりません。それからは何としてでも草原にたどり着こう、と強烈に痛む胸と腰と戦いながら、何とか下山しました。振り返って山を眺めると、沢になっているだけに強烈な傾斜の谷あいでした。

初めての救急車
 正午過ぎ車を運転して何とか自宅にたどり着きましたが、張り詰めた気持ちが解けたのか体が痛みで動かせません。秘書に電話して救急車を自宅に呼んでもらい救急病院に搬送されました。初めての救急車利用です。CTスキャンの結果、右12から9までの4本の肋骨が折れていました。痛み止めの点滴をしていただき、薬ももらい自宅に帰りましたが立ち上がるのにも、咳をするにも強烈な痛みが走ります。

 夜は重要な後援会の幹部会がありましたので、素知らぬ顔で出席しお互いに今後の後援会の運営について話し合いました。皆さんと有意義な意見交換が出来ました。
 しかし家に帰って眠りについても寝返りも打てず強烈な痛みが走りました。息をするのも苦しい状態です。

整形外科医である2人の後援会長からの言葉
 私の連合後援会長は直前の会長も今の会長も整形外科医です。最初に現在の会長にどうすればいいかを相談しましたので、すぐ直前の会長にも情報が伝わったようです。早速、前の会長から電話をいただき「災難だったけど、一か月は痛みが取れない。胸部を動かさないようにして我慢することです」と淡々と言われます。現在の会長にもお礼を兼ねて電話しましたら「よくそれだけでおさまりましたよ。大事にしてください」とこちらもさすがお医者さんで多くの肋骨骨折の患者さんを見られているだけに、医師としての所見の言葉です。
医師から見れば「こんなもんだろうな」と立ち上がるにも事欠く自らを省みながら馬鹿なコースの選択をしたものだ、と思慮の浅さにまた反省です。

立ち上がり方、歩き方がおかしい
 翌18日、大分県と熊本県を結ぶ長大トンネル「滝室坂トンネル貫通式」でした。「滝室」というだけに出水が多い地域、しかも外輪山をくりぬく傾斜4度の勾配の難工事です。貫通式ですので最終完成まではまだまだ時間がかかります。
 トンネルの入口に「凡事徹底」という銘板プレートがありました。「当たり前の事でもきちんと注意を徹底しなさい」という戒めの言葉です。これが私には足りなかった、と改めて感じました。挨拶や樽開き、万歳の時の立ち上がり方、歩き方がおかしいとみんなから言われ、とうとう白状しました。

痛い痛い一日
 利尻登山はキャンセルです。いくつかの行事もキャンセルが出るかもしれません。一か月は養生が続きます。わずかの不注意がこのようなことを招きます。これまで何度反省して来た事か。
しかし完全に治癒したら、いつの日か利尻山に登りたいものです。そのための前哨戦として俵山にも登ります。ただし登山道以外は歩きません。痛い痛い一日でした。

写真は朝の7時前、1095mの俵山山頂。自動シャッターで撮りこの時までは快適・快調だった