養蜂、業とするものと趣味の区分け
2023年02月21日
熊本県養蜂組合の会長を仰せつかって20年になります。県議会議員の時、故山本靖県議会議員からバトンを受け継ぎました。以来、「街路樹には蜜源となる樹木を植栽して欲しい」「菜の花を河川敷に出来るだけ植えるようにして頂きたい」「レンゲ畑を拡大させる対策を」などの活動をしてきました。お陰で熊本県は蜂蜜の生産量では全国第2位になりました。トップはダントツで北海道です。
そのような事もあり養蜂業を振興するための国会議員の集まりである「養蜂議員連盟」の副会長をさせていただいています。会長は森山裕衆議院議員です
退職後などに趣味として養蜂を始め、自家生産で直売所に販売する方々が増えましたので、それまでの養蜂振興法を改正することになり、平成24年に私が座長として改正作業に当たりました。
改正点は、ミツバチの法定伝染病である「腐蛆病」(ふそびょう)などを防ぐために、趣味の方々に十分注意を払っていただくよう、趣味で始められる方にも、業として養蜂を営む方と同様に、各都道府県に養蜂の届け出をして登録していただくことを義務付けるという点でした。
養蜂振興法の改正から11年。法定伝染病などの拡大はあまり見られません。しかし、各地域で業として養蜂を営む方々と趣味として蜂を飼育される方々の衝突が起きるようになりました。
【各地の現場でトラブル発生】
業として養蜂を営まれる方々は、季節に応じて全国を回られます。暖かくなるにつれ南から北へ蜜源を求めて移動されます。「転飼」と言います。蜜源となる植物が植生しているところは限られていますので、そこで業として巣箱をおかれる方と趣味として巣箱を置かれる方の衝突が起きるのです。特に業とされる方の巣箱(蜂群数)は大規模で蜜蜂は西洋ミツバチです。趣味とされる方は小規模で日本ミツバチが大半です。西洋ミツバチに比べ日本ミツバチは大人しく刺しても大したことはありません。採蜜力も弱い国内種です。
業として営む方々からすれば「私たちはこれで生計を立てている。趣味の方々は一歩譲って欲しい」と思われますし、趣味として飼育されている方々は「大人しい日本ミツバチで採蜜をしているのに、大規模な西洋ミツバチが来ては迷惑だ。そして私たちは養蜂の登録をしている」ということになります。
今後、双方をどのように区分けしていくかが、現在問題になっています。私たち養蜂議員連盟は業として養蜂産業で生計を立てる方々のための議員連盟ですので、いかにプロの養蜂業者を守るかで対策を考えます。
20日(火)養蜂議員連盟の総会がありました。21日(水)は日本養蜂協会の定時総会が東京で開催され全国から養蜂業者の方々がお集まりになります。
法改正から11年。新たに発生した課題に対して早急に対応しなくてなりません。高齢社会を迎え養蜂は割合簡単に始められ、生態系の維持を担っているという自負もあるだけに、今後も増加することが考えられます。
難しい区分け作業ですが、業を守るために前に進ませたいと思います。
ちなみに「養蜂産業」は畜産業に分類されます。国内産蜂蜜の自給量はわずかに5.5%、あとはすべて輸入に頼っています。輸入量のうち中国が65.5%を占めます。
【写真は養蜂業の方が全国を転飼していく状況】