児童手当の所得制限撤廃について
2023年02月03日
3日(金)の新聞朝刊に「児童手当所得制限撤廃」「政府調整・18歳まで支給拡大も」という記事が出ました。今国会で自民党の茂木幹事長が衆議院の代表質問で、「所得制限を撤廃すべき」という質問に対し岸田総理は前向きの答弁をされていましたが、その延長での記事と思います。
所得制限にもいろいろあります。児童手当の支給は養育者の年収が「960万円」以下の場合です。それを超えると特例給付金という名称で月5000円支給されます。しかしそれも養育者の年収が1200万円を超えると不支給になります。令和3年の国会で、その1200万円以上の年収の方には特例給付撤廃の案を提出したのが当時の少子化対策担当大臣であった私です。施行日は令和4年10月としていましたので、昨年の秋に始まったばかりです。私としても野党の厳しい質問を受けながら成立させた経緯もありますので、改めて当時の議事録などを調べてみました。
【児童手当制度の変遷】
平成21年(2009年)以前の自民党政権時は年収860万円の所得制限で児童手当が支給されていました。しかし当時の民主党が「児童手当」から「子ども手当」という政策を打ち出します。所得制限なしで0歳から中学生まで13000円を支給します。その代わり「年少扶養控除」という税制上の優遇措置は撤廃されました。
当時野党であった自公と民主党の合意で所得制限960万円が設けられることとなり、平成24年(2012年)に再び児童手当となり同時に年収960万円を超える世帯には特例給付として5000円が給付されることになりました。
【特例給付金の所得制限】
「保育園落ちた、日本死ね」のフレーズを覚えておられる方は多いと思います。ツイッターに30代の母として投稿されメディアや国会で幾度となく大きく取り上げられました。平成29年に保育園の待機児童は2万6000人を数えていました。待機児童対策は最重要課題でした。私が大臣の時、待機児童対策として14万人分の受け皿づくりのため財源が1400億円必要でした。しかし、財源がどこからも出て来ません。そのため苦肉の策として経済界から1000億円拠出していただくことにしました。そのお願いに経団連を始めとする経済界にも大臣として何度も足を運びました。一方で年収1200万円以上の方々に対して特例給付金5000円を撤廃することにより残りの400億円を待機児童対策に回して財源を確保したのです。
公明党さんからは特例給付の所得制限に慎重な意見が強くありましたが、当時、結婚支援の充実、不妊治療助成の拡充、男性の育児休業の取得促進など、高所得者も含め総合的な少子化対策を併せて進めることとしていました。最終的には、このような取組を進める中で、待機児童問題の解消という喫緊の課題を進めるため、当時の自公の政調会長下村博文先生と竹内譲先生、そして田村憲久厚生労働大臣、と少子化対策担当大臣の私の4人が会談し1200万円で合意しました。
その時、施行日を令和4年10月としたのです。
これが子ども手当から児童手当へ、また所得制限に関する大まかな推移です。今、待機児童は令和4年で2944人です。当時より8割以上減少しました。その成果も評価していただきたいと思います。そのために所得制限制度撤廃などの次のステージに進む事が出来るのだと考えています。
少子化対策はそれぞれのライフステージに応じて支援をしていかなくてはなりません。特効薬はありません。「次元の異なる対策を取る」という岸田総理の意欲的な思いが表明されましたので、短期、中長期それぞれの対策を打ち出していきます。
待ったなしです。
【写真は所得制限撤廃を伝える地元紙】