少子化対策「遅すぎる」と指摘される
2023年01月07日
7日(土)午前9時半から阿蘇市消防団の出初式でした。11時には終わりましたので、以前からお世話になっているこども園と保育園の理事長のお宅に新年のあいさつに行きました。理事長は私を国政に勧めた元県議会議長の奥様です。
議長の後押しもあり、平成15年に初当選しましたが、議長は私の当選を見ることなくお亡くなりになりました。このため時間があればご自宅にお邪魔して、仏壇に手を合わせています。
議長は県議になられる前に未来の国づくりの為と、幼稚園を始められ、現在は奥様が運営されています。1977年に開園されましたのでもう50年近い歴史があります。実際は奥様がほとんど責任者として子どもの教育、保育を運営して来られましたで、奥様は全てを理解されています。
仏壇にお参りした後、私が「総理が異次元の少子化、子育て対策をやるといわれましたのでこれからまた期待が持てますね」と言いましたら理事長である奥様は「もう遅いです。出生者数が年間70万人台になって、どれだけ出生者数が回復するのでしょうか」と、一刀両断に言われました。
それを聞き「なるほど。さすが幼児教育・保育を永年やってこられた方の実感である」と私自身恥ずかしくなりました。
少子化対策担当大臣が誕生したのは2007年(平成16年)で初代の大臣は上川陽子代議士です。私も令和2年9月から1年間とちょっと、第22代の少子化対策担当大臣を務めましたが、保育のベテランである理事長に言われると何とも恥ずかしい限りです。私の大臣時代は、財源を何とかしなくては、と株取引などで利益が出た際の税である「金融所得課税」を引き上げて欲しいと、大臣折衝で財務大臣に要望しましたが、景気の腰折れを招くという事で財源の確保が出来ませんでした。当時の私たちの計算では、まず児童手当を第1子、第2子、第3子と大幅に引き上げ、特に第3子の場合は月額6万円の児童手当を計画しました。多子世帯を増やすことが少子化に歯止めをかけることに繋がるという考え方でした。そのための財源は3兆円必要でした。しかしその財源の確保が難しかったのです。
総理は今年6月の「骨太の方針」で財源を明確にするといわれていますので、1月下旬からの国会では「防衛予算」と「少子化対策予算」の財源論が最大の焦点になりそうです。
その矢先に自民党税調の幹部が消費税の引き上げに言及され波紋を広げています。確かに消費税を2%(1%=2.5兆円の計算で)引き上げていただけば、少子化対策の予算は確保出来ます。しかし2019年に消費税を今の10%に引き上げた際、「向こう10年間は消費税を引き上げない」ということが国民との約束になっています。
私が大臣の時も菅総理が消費税の引き上げに言及されたとき、大きな反発が起き即座に「10年間は消費税は引き上げることはない」と断言され収まりました。
国民との約束は最も大切なことです。特に税の問題となると、皆さん敏感で、これまで何度も政権が吹っ飛びました。ですから今なぜ、消費税引き上げ論が出たのか不思議ですが、やはり無理筋の話です。民主党政権も、消費税は上げない、と言っていながら「社会保障費に限定して使う」という事で引き上げを宣言し、民主党政権は終わりました。それほど国民との約束は政治にとっては最大限大切にしなくてはならない事です。
私には、10年後(2029年)の消費税を引き上げさせていただくとして、少子化は7年から8年、予想より前倒しで進んでおり、国の存亡にかかる重大事ですので、緊急に少子化対策をするに当たっての財源論の私案はあります。
いずれ自民党の少子化対策調査会(衛藤晟一会長)でその意見を述べたいと思います。
しかし、新年のご挨拶に行った際の「もう遅いよ」という言葉に頭を殴られたような気持になりました。かつての大臣としての責務もあります。これからでも間に合うよう少子化対策に全力で取り組みます。
【写真は昨年6月に生まれた私の6人目の孫、女の子です】