台湾親日・韓国反日~なぜこうまで対照的なのか~

2022年03月30日

 29日(火)午後5時から自民党本部で「外交部会・日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会合同会議」があり、渡辺利夫元拓殖大学学長(現顧問)が「台湾親日・韓国反日~なぜこうまで対照的なのか~」と題して講演をされました。

 台湾、韓国双方とも日本に併合され植民地時代を経験しますが、清朝の一辺境の離島だった「台湾」と「李氏朝鮮」という独立国だった韓国では当然、対日感情は違い、特に台湾は未開の地であったために日本が建設したインフラがその後の発展のために大きく寄与したことで、親日である、という事くらいは分かってましたが、改めて論理的な話を聴くために出席しました。

 台湾については私が考えていたこととあまり変わりませんでした。台湾併合が日清戦争後の1895年(明治28年)と比較的早かった事。当時台湾は清朝の福建省台湾府として編入され、マレーポリネシア系も含めて各部族によって社会が成り立っており、政治・社会統合不在の地で「難治の島」と言われていたそうです。

 そこに日本が併合し、とりわけ第4代台湾総督・児玉源太郎、民政長官後藤新平の着任(1898年)時に、アヘン常習吸引者の排除、公衆衛生の徹底、土匪制圧、南北縦貫鉄道敷設、基隆・高雄築港、土地調査事業、徴税基盤確立、そして日本語教育を通じての社会統合が進みました。それが戦後日本敗戦と国民党軍占領により、統治形態が大きく変わることになりますが、日本統治時代の秩序・規範は蘇り、いわゆる「日本精神」が受け継がれた、という事でした。

 一方韓国においては李氏朝鮮という王朝国家で清韓宗属関係にあり、中華(中原)を軸に同心円状に広がり、中華から遠い人種や国家、民族ほど価値において低いという観念があり、日本などは「蛮夷」として位置づけられていました。更に両班(りゃんぱん)という官僚が全ての実権を握り、血縁、君臣関係が中心の朱子学を信奉し、中産階層が欠落した社会であった(イザベラバード著「朝鮮紀行」)、という事でした。

 そこに蛮夷の国ニッポンが1910年(明治43年)に併合し、身分制の廃止、私有財産制、自由契約の原則などを導入したために、既得権益の侵犯として怨嗟の対象になった、ということです。それが戦後、韓国となった時、新しきエリート官僚(両班)が過去の歴史の清算と積年の弊害の清算をつくり上げ、現在の従軍慰安婦や徴用工問題の清算に繋がっている、という事でした。
 どうしようもない反日の「観念」があるので反日感情を是正していくことは難しいものがある、とも言われました。

 なかなか説得力のある話でした。このようなことを考えると韓国は新しい大統領の下で5月から新政権がスタートしますが、これまで対日関係に後ろ向きだった文在寅前大統領を支持した野党が多数を占める中で急激に日韓関係が改善されるかどうかは不透明です。

 しかし、隣国。しかも台湾有事や北朝鮮対策など日米韓で協力しなくてはなりません。過去は過去として、未来志向の関係をつくりたいものです。特に、韓国にもZ世代がいるはずです。若い方々と共に良好な日韓関係を築いていくのが私たちの役割と考えます。