地方税に見た連立政権の難しさ
2021年12月08日
先に書いたブログで「地方自治体のためにも、地方派としては地方税の確保を図らなくてはならない」という趣旨のことを書きました。
特に市町村にとっては、地方税収入の半分近くを占める固定資産税については今回の税制改正で大きな論点でした。固定資産税については3年に一度、土地、建物など固定資産の評価の見直しがあります。令和3年度が見直しの年でした。しかし、昨年のコロナによる経済低迷で、見直しを1年延期することにし、令和3年度の税制大綱にも「令和3年度に限り、税額が増加する土地については前年度の税額に据え置くことにする」と明記されました。
各自治体では令和4年度は元に戻してもらえると思っていました。しかし国土交通省などから「コロナの影響は続いており、令和4年度も3年度同様の措置をとるように」との要望が出てきたため、地方自治体からは、「固定資産税は地方の基幹税であり主要な財源であることから3年度限りという大綱を守るように」と反発も出ていました。これまで3年度限りのものとするか、もう一年続けるか、自治体と国土交通省とのせめぎあいが続いていました。
自民党では全体会合の中で3年度限りという結論が出されました。しかし、公明党は地価の上昇が見込まれ、元に戻せば経済的打撃があるとして、もう一年の据え置きを主張していました。
昨日、自民党と公明党で与党税制会合を開き、結局、商業地に限り負担軽減を半分にして1年間継続する、という事で決着しました。これにより地方の減収は400-500億円くらいという事です。私たち自民党の地方税勉強会では昨日の昼、会合を開き「自民党の方針を貫き公明党に妥協すべきでない」と申し合わせたばかりですので、残念な気がします。しかしこれが連立政権の難しさです。
私も少子化対策担当大臣の時、児童手当の支給要件で、所得制限を巡って公明党と開きがあり、結局中間点を取って所得制限を決めました。連立政権は往々にしてこのように妥協点を探さなくてはなりません。しかし、それが正しいかどうかは別です。難しい問題です。
わが国だけでなくドイツは3党連立政権でスタートするため更に難しい決断を迫られることになると思います。我が国は自公連立で、ともに合意していく余地は多いと思いますが、今後財政や外交関係が厳しくなってくると、各政党の考え方に開きが出てくることも考えられます。
財政、安全保障、教育方針など政党の根幹をなす主張と連立政権の整合をいかにとっていくか、これからもいくつかの山がありそうです。