孤独・孤立問題でEU副委員長とオンライン会談
2021年07月20日
20日(火)午後5時から1時間、EU欧州委員会で民主主義と人口動態を担当するシュイツァ副委員長と孤独・孤立対策についてオンラインで会談しました。同副委員長が我が国の孤独・孤立対策で大臣を置いた事に関心を持たれたため、当初は私がベルギー・ブリュッセルのEU本部に行って直接会談する予定でした。しかし東京に緊急事態宣言が発令されたため、オンライン会談になりました。シュイツァ副委員長はクロアチア出身でエーゲ海の真珠とも形容される美しい町並みで有名な都市・ドゥブロブニク市の市長を務められた後クロアチア議会議員として活躍され欧州議会議員を経て現職にあります。活発な女性政治家です。
私から「本来はそちらにお伺いする予定でしたが、このような事態になって準備をされた皆様に申し訳なく思います」と述べ、同時にベルギーやドイツで洪水により死者・行方不明者をはじめ多くの犠牲者が出ていることに対して、哀悼の意とお見舞いを申し上げました。その後早速、副委員長から本題に入り現状報告がありました。
「直接お目にかかることを楽しみにしていたけど、バーチャルでも大変嬉しく思う」
「新型コロナのソーシャルディスタンスの副作用として、孤独・孤立の社会的疎外感を感じる方が昨年の数か月間に市民の半数にも上り大きな問題になっている」
「ソーシャルディスタンスは社会を棄損させ、スティグマ化(偏見や誤解の発生)させている。だからこそ孤独の問題は大きな課題である」
「EUでアンケートを取ったが、2016年は孤独感を感じる人は12%であったのが2020年は25%に倍増した。パンデミック前は北欧は低く、南欧や東欧は高かったが、コロナ勃発後は欧州全域で20%以上になっている」
「特に若者、独身が多い。社会的に大きな損失である」
「EUでは次の作業として孤独・孤立に対しての追加的なエビデンスをまとめ、孤独・孤立が予防できるかなど、パイロットプロジェクトを実施し、意見交換して行く」
「2022年末には大規模な会議を開くので、日本の大臣もぜひ出席して欲しい」
など、EUの孤独・孤立対策の経過について述べられました。
私からは、➀日本はコロナ禍の中で若者、女性の自殺が増えるなどして来たために、今年2月に私が孤独・孤立担当大臣を命じられた➁孤独・孤立対策などに対して活動するNPОを支援するために60億円の予算を組んだ➂私が司令塔になり、横の連絡を密にするため各省庁の副大臣を集めた会合を定期的に開催している➃孤独・孤立についての実態調査を実施し今年度末には結果を出す。同時にSNSサイトでの孤独対策を手掛けている。各NPOのフォーラムを行い意見を政策に取り入れ、年内に重点計画を策定する➄英国のバラン孤独担当大臣とも会談し今後データを共有し定期的に意見交換をすることにした、等を話しました。
シュイツァ副委員長は大変な関心を示され、「世界的な問題であるので今後も継続的に意見交換をして行こう」と強く訴えられました。最後に「孤独・孤立に関する日・EU共同発表」で合意し、(1)孤独・孤立対策において、知見や政策を共有する事(2)孤独・孤立の実態把握に関する知見を共有し、データに基づく政策を展開する、という文書を取り交わしました。
この日は午前11時15分にはオーストラリアのリチャード・コルベック高齢者・介護・スポーツ担当大臣が駐日オーストラリア大使とともに大臣室を訪問され、オーストラリアとわが国の孤独・孤立対策について意見を交わしました。コルベック大臣の担当は高齢者の孤独担当ですが、オーストラリアでも最近若者の孤独問題が深刻になっているとのことでした。
英、EU、オーストラリアともに孤独問題は深刻で、しかも若者に孤独感が広がっていることが共通しています。今後世界的な課題として、各国協力しながら政策を進めて行かなくてはならないことが明確になりました。我が国はその先頭に立って行きたいと思います。
昨日とがらりと変わり忙しい時を過ごしましたが、大変有意義な一日でした。