国家戦略特区諮問会議と規制改革会議の合同会議
2020年12月22日
21日午後3時5分から「国家戦略特区諮問会議」と「規制改革推進会議」の合同会議が開かれました。国家戦略特区は私の担当、規制改革会議は河野太郎規制改革担当大臣の担当です。大臣の管轄が違う組織を合同で開催するという事は珍しいことですが、それだけ規制改革への幅広い論議が要求されているということでもあります。会議の進行は私がしました。
この中で特に問題になったのは、兵庫県養父市がこの5年間、企業による農地所有を特区として実行してきたことを全国展開するかどうかということです。国家戦略特区諮問会議の民間議員の皆さんは「この5年間の特区としての実証に何ら弊害は出ていない。このため直ぐにでも全国展開すべきである」と主張されました。これに対して、合同会議に出席された野上農林水産大臣は「養父市で、規模が拡大しているのは、リースで対応しているのが現状。また、農地が大手に転売されたり、産業廃棄物置き場になったりするのではないかとの心配が農業の現場にあるといった慎重意見がある」と反論されました。私は「養父市が活用している特区の特例をさらに延長して、一方で農地の適切な利用を促進するための施策について幅広く検討し、令和3年度中に結論を出すことにしたい」と投げかけました。
しかし、諮問会議委員の方々は納得されず「リースだろうと所有だろうと弊害がなければ全国展開をすべきである」と強く主張されました。
最後は菅総理が発言を求められ「先ほど皆さんから色んな意見がございました。特区法の中で、その地域で成功したものについては全国展開するということになっておりますので、私で預からせていただいて、その方向でまた後でご報告させていただきたい」と述べられました。総理が会議途中でこのような発言をされることは異例のことです。
そこで私が最後に、総理が引き取られた、国家戦略特区の養父市の企業による農地買収の部分を除き、「その他の項目については承認していただきますか」と言うと、皆さん同意されました。
官邸で行われる会議はほとんどが決められたシナリオ通りに行くのですが、今回の農地の企業所有是非の問題は異例の結果になりました。
それだけ、これまで難しい問題だったのです。農地の企業による買収に反対する農林関係者にとっても、所有を可能とすべき企業にとっても「1丁目1番地」の問題です。今後、農林水産大臣と私が十分に話し合って総理に改めて報告することにしました。
これから正念場の日々が続きます。