EUとのEPA交渉は大詰めだが
2017年06月27日
EUと日本の貿易自由化交渉いわゆるEPA交渉は大詰めを迎えていますが、なかなかその交渉過程が伝わってきません。
マスコミではチーズやチョコレート、パスタなどが安くなる、と報道していますがそれによって困る生産者も出てきます。国益全体を考えた場合には、立場が弱くなる方々のことも考えながら交渉していかなくてはなりません。
最も交渉が難航しているのがチーズのようです。ヨーロッパは何百年の歴史を持つチーズの国ばかりです。日本のチーズも最近は本当に美味しく、各地で特性を持ったものが作られていますが、「ゴーダチーズ」や「カマンベールチーズ」などブランド力ではヨーロッパの乳製品には及びません。
北海道の酪農は8割の生乳が加工用、つまりバターやチーズ、生クリームに回されていますので、一気にチーズなどの乳製品が我が国に入ってくると、北海道の加工用が余ってしまい、飲用乳として本州に入ってきます。
そうすると都府県と北海道で飲用乳と加工用とに住み分けてバランスを取っていたものが崩れてしまい混乱を起こすことになります。
貿易の自由化は阻むことは出来ず、国民にとってはメリットも多いのですが、慎重に少しずつ進めて、その間に国内産業を育てるということが大切です。戦後、アメリカから自動車の輸入を強制させられようとした時に、日本の官僚が立ちはだかって、輸入を阻止してその間に今のトヨタや日産の自動車メーカーを育て、世界の日本自動車に成長させました。もう一度そのような手法が求められます。