加計(かけ)学園問題どう展開する
2017年05月26日
学校法人加計学園(岡山市)が国家戦略特区を活用して愛媛県今治市に獣医学部を新設する問題は、獣医師が過剰気味にあり獣医師会が学部の新設に反対する中で、特区として認可された事に対して、総理の意向が強く働いたのではないかということで、国会で問題化していましたが、ここに来て新しい学部の新増設の責任者であった文部科学省の前事務次官が、官邸及び内閣府の強い働きかけがあった、とする文書の存在を認める記者会見をしたことで、大きな展開を迎えることになりました。
政府である官房長官や文部科学大臣は文書の存在を否定していましたので、今後国会でどのように取り上げられるか、新たな課題が出てきました。
この問題は森友学園の国有地購入問題の時から、いずれ出てくるのではないかとささやかれていましたが、前事務次官の記者会見で政府と真っ向対立というのは前代未聞です。
しかし単純に考えると、学校の許認可という大きな権限を持っていた文部科学省が、「特区」という制度の中で内閣府にその権限を犯された、という省庁の権限争いにも見えます。更に、既存の獣医師会の中に新興勢力が入ってくるのに際しての既得権争いのようにも思えます。
記者会見した前事務次官の前川喜平氏は前川製作所という我が国トップクラスの冷凍庫などの製作を手がける優良企業の御曹司で、妹は中曽根弘文 元文部大臣、外務大臣の奥様で、中曽根氏とは義理の兄弟という政治の系譜がまた話をややこしくします。
大切なのはことの本質は何なのか、をしっかり考えることです。官邸のごり押し、と決め付けてしまえば話は善悪論になってしましますが、そうばかりではない。成長戦略や地方の活性化を考えれば、何とか既存制度に風穴を開ける手法だった、ということも出来ます。
これまで特区制度による新たな仕組みの構築や規制緩和による新しい産業の参入を積極的に進め、消費税の引き上げも見送りながら成長戦略を展開してきた安倍内閣ですが、ここは文書が存在したかしなかったか、というような問題ではなく、我が国の進むべき道について堂々と論戦を展開したらいい、と思います。
ただ役所は都合の悪いところは必ず隠すという隠蔽体質があることは事実です。