企業の農地購入について
2016年03月01日
農地はみんなで守っていくものであり、企業に所有権を認めれば、営利のために転売されたり、産業廃棄物の捨て場にもなる、というこれまでの論理が特区に限って崩れることになります。
昨日の農林役員会で、兵庫県の養父市を農地の特区として向こう5年間に限り、企業が農地を購入することを認めるという特区法を承認しました。これは養父市からの要請に応えるものです。耕作放棄地が多く、転入者も少ない中で農地を何とか企業に活用して欲しい。しかし今の法律では企業は農地を購入できないために特区に指定して、企業が農地を購入して農業に参入するようにして欲しい、という要望が以前から上がっていました。
私たちは、農業は企業が考えるほど利益が出るものではないし、利益を生み出さなければ企業は撤退する。撤退した後の農地は誰が管理して、また元の農地に整備していくのか、という思いの中で、企業の農地購入には反対してきました。しかし、政府の方針は、攻めの農業ということで、特区を認めて企業も参加してもらおうという考え方です。
今回の特区法は、要望があった兵庫県養父市に限って、しかも5年間の時限立法で企業の農地購入を認めようということになりました。実験的なことですが、不安もあります。しかも今回うまく行ったとしてもこれを全国にあてはめようとすると、様々な悪例が出てきます。心配ではあります。
やはり農業はしっかりした農地と作物と地域に対する愛情で基本的には行っていくものです。しかし、それだけではやっていけないところまで来ているという。背に腹は代えられない、という訳ですが、ここでもう人踏ん張り、地域でリーダーを育て、それを地域全体また周囲から応援する形で企業農業とは違う本来の農業が可能と思うのです。しかしそれに向けた政策がいまひとつ足りないことも認めます。今後頭が痛くなるほど考えて、地域農業の自律のための政策を提言していきます。中山間地にしても地域の政策で必ず農林業や中山間地がよみがえることが出来ると考えます。