郵政VS銀行関係
2015年05月20日
郵政の民営化が決まって10年がたちます。いよいよこの秋に、郵政の株が上場されます。今郵政は大本となる日本郵政が持ち株会社として、100パーセントの株を国、つまり財務省が保有しています。その下に、郵便事業をする「日本郵便」、貯金を扱う「ゆうちょ銀行」保険を扱う「かんぽ生命」の3社をぶら下げ、株を保有しています。
今、このうちの「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の3社の株がまず50パーセントづつ売り出されます。出来るだけ高い株価がつくように郵政は努力していますし、もともと国の株ですので売り上げの4兆円は東日本大震災の復興予算に組み入れられる予定です。郵政というのは世界的に見ても巨大企業です。その株が3社同時に売り出されますので、証券業界は世界で初めてのこととして大変関心を持っています。
これまでは国が株を持っており、倒産する心配がなかったことから、民間金融機関の不利にならないように様々な規制がかけられています。例えば郵便貯金は普通貯金や定額貯金併せて1000万円までしか出来ません。限度額の設定といいます。簡易保険も同じような規制がかかっています。
民営化して株を売り出すわけですので、郵政はこの限度額を拡大して欲しい、それでないと職員のやる気も起きないし、株も高く売れない、将来のビジネスモデルを描くことも出来ない、と求めてきています。
これに対して、銀行や信用金庫、組合、農林中金は民営化といっても暗黙の政府保証があり、限度額を拡大すれば民間金融機関が打撃を受け、限度額の拡大はまかりならない、と強く求め、真っ向から対立しています。
その行司さばきをしていかなくてはならない立場に今います。これまで郵政、銀行など各金融機関から聴き取りをしました。更に証券業界からも聴かなくてはなりません。
最終的には郵政にとっても良い、銀行にとっても容認できる、というような双方にとってメリットが出るような方針を出して、報告書にしなくてはなりません。その期限は6月一杯という所です。
なかなか難しい作業ですが、やり遂げなくてはなりません。ちなみに自民党は昨年の衆議院選挙の「公約」で「限度額に対しては今後検討する」と明記しています。知恵の絞りどころです。