法人税の減税と消費税引き上げ

2014年06月06日

 昨日は来年度の税制、特に法人税をどうするかで方向性がまとめられました。
 「法人実効税率を引き下げる」とよく安倍首相は言いますが、それほど簡単なものではありません。法人税は企業の所得に応じて国に負担する国税の法人税と、各地域で事業を行う訳ですから、事業に対して下水処理施設などインフラが必要となってくる地方に支払う法人事業税、それに地域に立地するわけですので法人住民税を地方税として負担しなければなりません。これらを全て足し合わせて「法人実効税率」と呼んでいます。
 企業の成長のためには実行税率を引き下げればいいのでしょうが、国や地方は財源が減少します。
 特に国は2020年までに1000兆円という莫大な借金に対して財政再建の道筋をつけなければなりません。これは国際公約です。
 一方地方も高齢化、人口減少で、県や市町村の財政は火の車です。少しでも税収が減れば住民の生活にもろに響いてきます。
 税率を下げる一方で財源を守るという、相反することをどうやって実現させていくか、大変な作業です。
 そこで課税対象を今より広く求める、薄く広くという方向が出されました。地方の財源を守るために、法人が便益を受けている分は企業に負担をしていただくという「応益課税」の方向が出されました。その上で、法人税改革を進めていく、という展望が自民党で了承されました。
 税制改正のピークは年末ですので、これに具体的な数字や税制改正、新税創設が入ってくると更に複雑になり、各産業間、国と地域間の確執は激しくなります。
 今年はこれに消費税残り2㌫の引き上げ決断が入ってきます。企業だけ税率を引き下げて、その分国民に負担を負わすのか、という論調が出て来ます。また同じ企業でも地方の企業は燃油や電気代の高騰でにっちもさっちも行かなくなっている、大企業とは事情が違うのでここは特別扱いしてくれ、という言い分も理解できます。しかし地方は中小企業が大半です。更に減税率が大きくなると地方財政は成り立ちません。
 八方塞の中で、どう活路を見出すか、日本人の知恵と能力、結束と忍耐力が問われます。