TPP交渉は急ぐ必要なし

2014年04月11日

 日豪の経済連携協定が大筋合意した翌朝の新聞に、TPPの日米交渉で「牛肉の関税を1ケタ台に」という記事が踊りました。
 日豪の牛肉は38・5㌫の関税を冷凍肉は19・5㌫、冷蔵肉は23・5㌫にそれぞれ18年と15年かけて引き下げるという、交渉の末の両国のぎりぎりの妥協案でした。私たちにとっては不満が残りますが色々な安全策を採り入れ、また国内の畜産酪農対策をすれば、何とか理解できる落としどころではあります。
 しかしアメリカはオーストラリアと違い高飛車です。日本に譲歩しようとする気配はありません。それでいて米豪のFTA(経済自由化協定)ではアメリカがオーストラリアに負けそうな牛肉、乳製品、砂糖は例外品目になっているのです。
 これがアメリカの交渉スタイルです。常に自分の利益を主張し、相手が弱いとなれば突っ込んで来る。強いとなれば理屈をつけて自らの都合のいいようにすりかえる。一本筋の通った主義主張はありません。常にその時どきの国益重視です。
 今回の日本との交渉も11月にアメリカの中間選挙を控えているために、選挙に不利になるような言動は取りません。
 日本としても、オバマ大統領が4月下旬に来日するため何か「お土産」を持たせなくては、とTPPの大筋合意に向けてあせっては負けです。
 ここはじっくりと、アメリカの中間選挙が終わるまで待ち、そして交渉らしい交渉をしていくべきと考えます。