アベノミクス第3の矢の課題
2014年03月05日
昨日は「アベノミクス2年目の課題」というタイトルで東京大学大学院教授の伊藤隆敏先生の話を聴きました。第1の矢、大胆な金融緩和は「大成功」、第2の矢、適切な財政出動も「成功」そしてこれからの第3の矢「規制緩和と成長戦略」は「遅い」という評価でした。
第3の矢は規制緩和を伴うだけに最も難しいものです。特に農業、医療、教育、年金の運用など命と食料、人材の育成の関わるものだけに慎重な対応が求められるところです。
しかし先生によると「課題が多すぎて目玉の政策が見えない」「首相のリーダーシップが見えない」「諮問会議や競争力会議、規制改革会議などの関係が不明確」と判断されていました。
今後は強い農業、労働市場の改革(特に女性労働参加の推進、外国人労働者の受け入れ、高齢者雇用の改革)、医療の産業化、教育の輸出産業化などを挙げられていました。
安倍総理の知恵袋の一人ですので、今の政権はこのような方向に動いていくのでしょう。しかし、そこの判断は難しいものがあります。
先生のおっしゃるとおりにすれば、経済の成長は実現するでしょう。しかしそれで本当に幸せになれるのか、格差はつかないのか、治安は大丈夫か、日本の良さまでもが失われるのではないか、という不安が付きまとい私たちは慎重にならざるを得ません。
国会は26年度予算もすんなりと衆議院を通過し、今のところ与野党の対決は見られません。しかし、自民党内で今後この成長戦略と規制緩和を巡っての意見の相違が顕在化してきそうです。