官邸と党

2014年01月23日

 「政府・自民党」と言います。政権を握っているのは自民党。その自民党が政府をつくっていますので、政府と自民党は一体ということです(正確には自民党・公明党の連立政権ですので少し複雑になるのですが)。
 しかし、最近政策面で政府が進もうとする方向と、自民党の政策との間にギクシャクしたものが見られます。政府は経済の成長戦略を達成するために経済人の政策を取り入れ、既存の組織や既得権益というものを壊して前に進むことによって成長が生まれるという政策を出してきます。一方、自民党を支えるのは各産業団体です。医師会、農協、福祉団体など多くの職域団体によって支えられています。当然、今までの仕組みを壊すような新しい政策が次々に出てくることには慎重です。そこで政府いわゆる官邸側と党側の軋轢が生じてきます。
 昨日も「国家戦略特区」のあり方を論議する部会で党と官邸が衝突しました。特区はあらゆる規制を排除して、成長する特別区域をつくって、いずれはそれを全国に広げようという構想。病院も自由につくりましょう。税金も安くしましょう。雇用も労働法に縛られず外国人労働者も含め自由に使えるような地域をつくりましょう、という訳です。
 しかし医師会や国税当局や労働団体側からすればそのように何でもかんでも自由に規制をはずすことは、社会の崩壊につながるという論理になります。激しいやり取りがあり、結局今日、自民党の各部会の部会長が集まって。元締めである政調会長と話し合いをすることになりました。
 力関係では執行権を持っている官邸側が強いことになりますが、果たして党側がそれで収まるのかどうか。
 民主党政権のときは、政府と党側が不一致だけでなく党側もいくつかに分裂してつぶれました。自民党はそのようなドジは踏みませんが、政策は一長一短、日本のために何が良いのか、じっくり考え調和を図ること。難しいことですが国会開会を前に合意形成が求められます。