韓国経済はすごい、しかし・・
2011年07月20日
17,18日の二日間韓国に行ってきました。完全自由貿易のTPPに反対する、自民、民主、共産の超党派による8人の議員団で、韓国の農業関係者の話しを聞くためです。韓国はEUと自由貿易の一つであるEPAを、そしてアメリカともう一つの自由貿易の形であるFTAを結ぶことにしています。
お互いの貿易で関税をゼロにして、その分韓国の自動車やパソコン、電化製品をヨーロッパ、アメリカに売り込もうというものです。その分、牛肉や野菜などの農産物がアメリカから入ってきて、農業は危機を迎えます。
しかし全体の国益からすると、貿易自由化による収入のほうが上回るという、経済界出身のイミョンバク大統領の強力なリーダーシップの下推し進められているものです。
日本では経済界は自由化を歓迎していますが、全体としては慎重な人が多い。特に多国間で一挙に自由化をするTPPについては、私たちのように反対している人が多いのです。国家の大切な選択です。おいそれと自由化だけを選択するわけには行きません。
韓国は10年ぶりでしたが、以前来たときよりはるかに活力に満ちていました。街も高層ビルが立ち並び東京をしのぎます。さすがに経済発展を選択した結果が現れている、と感じました。農業関係者の話も「自由化は避けられない。その中でいかに耐えられる農業をつくるかを頑張っていく」という意見が大半でした。自由化は大統領の方針であるからそれは避けられないという論法です。
しかし、このまま韓国が経済発展を遂げ続けることが出来るだろうか、という危うさも感じました。国民の間に格差が広がっています。農村部の苦しさは日本以上のものがあります。果たして農村部が疲弊することで、その国が持っているお金に代えられないものを失うことになりはしないか、いずれ低所得者の反乱が起きるのではないか、そんな思いを参加者全員が持ちました。
日本は韓国とはまた違う、もっと重厚な歩みをしたい。そう私は感じました。「バスに乗り遅れるな、韓国に負ける」、そんな掛け声は必要ない。わが国はわが国の歩みを自信を持って選択していけばいい、それが今回の視察の成果です。