熊本と東京の距離

2010年10月29日

 連日国会審議や政策の勉強会に出席しながら、最後は自分の出身地熊本と東京・永田町(国会議事堂の住所)の距離をどう近づけるかが、私の仕事、と改めて感じます。

 例えば今話題になっているTPP(環太平洋経済連携協定)も一見難しいようですが、全て私たちの生活に結びつきます。太平洋周辺の、アメリカやニュージーランドやオーストラリア、シンガポールなど9カ国が全ての製品、農産物、人的交流について関税をゼロにして、ヒト・モノ・カネが自由に往来できるようにしようというものです。日本は外国から入ってくる製品には農産物を中心に関税をかけて国内の産業を守っています。その代償として外国に輸出する製品も関税をかけられ、例えばアメリカでは、韓国の自動車が日本の自動車より15パーセント安く買うことが出来、このまま行けば韓国の自動車輸出が日本を追い越してしまう可能性があります。品質で勝負していた日本ですが、韓国車も性能が上がり、なにより安さには勝てません。そこで日本もTPPに参加することを検討する、と菅総理が言ったのです。

 しかしその分、農産物も無税になりますのでコメ、肉、バターなどの乳製品など大量に日本に入ってきて日本の農業がつぶれる可能性が大きくなります。そこで産業界と農業界、都市と農村の対立になります。

 ここまでは誰でも分かります。しかし、本当の問題はこれからで、それじゃ工業製品などは本当に日本にとって儲かるようになるのか、と言うと、そうばかりでもありません。

 全てが自由化になります。郵便貯金もどうなるか分かりません。熊本は本田技研工業が立地していますが、アメリカのハーレーだビットソンなどの大型オートバイも入ってきます。単純労働者も知的労働者もアメリカ、東南アジアから入ってきます。住宅も欧米の住宅様式が更に増えます。

 熊本で毎日生活していますが、身の回り全てに変化が起きてくる、ということです。それが果たしてよい方向に進むのか、現在の生活が悪化するのか、その選択になる、ということです。東京はかなり欧米化されていますので良い点が多いでしょうが、果たして熊本ではどうか、ということになります。

 東京・永田町と熊本の距離をいかに無くすかは、東京で考えられていることを熊本の生活に置き換えて考えそれを更に深く掘り下げるということです。慎重に、将来も見据えながら考えましょう。