鳩山総理の施政方針演説

2009年10月27日

 昨日は衆議院の本会議での鳩山総理の施政方針演説でした。民主党議員の総立ちによる万雷の拍手で迎えられ演説は始まりました。52分間。これまでの総理の演説に比べると2倍近い長さです。

 内容は分かりやすいと言えば分かりやすい。おばあさんの話や障害者工場の話を引用して、社会がこれから変わる。それは新しい政治になることだし、新しい政治手法でいかなければならない。それが無血の平成維新だ、と述べられました。

 言わんとしているところは分かりますが、どうも違和感が漂います。一つは具体策がなんら述べられていない。冗長的な言葉で意味は分かるが説得力がありません。二つ目は日本の総理としての演説にしては、格調がもう一つ。数日前、工場を視察したことをとうとうと述べたあり、選挙でタマタマ会ったおばあさんの話など、選挙演説としてはいいのでしょうが、一国の総理として国民に呼びかける言葉としては、信念と経験に欠ける、と感じました。

 もし私なら、世界や日本の歴史をひも解いてそこから今の日本がどんな状況下にあるのかを説明する所から入ります。その中でやるべきことの具体策を柱を立てて説明します。自らの人生経験で学んだことを少し披露しながら、政治的に、ともに進むことを呼びかけます。国家や地方、農業や商工業、教育など生活している人の汗と苦労に焦点を当てて、世界や国家、社会が進むべき方向を訴えます。少なくともオバマ大統領の演説にはそれがありました。

 それはその人物が体験してきた人生の歴史と哲学の差だと感じました。オバマは黒人子供として移民の子孫としてさまざまなことを考えボランティアや弁護士活動をして、その体験の上に政治のあり方を説きました。鳩山さんにはそれがない。恵まれた生い立ちと、大学の先生という選ばれた立場、そしてそのまま政治家の道を落選することもなく、鳩山ブランドで歩いてきた道。それがタマタマ視察した障害者を雇用した工場のたとえ話などになるのでしょう。底が浅い。

 しかし、日本にそれだけのリーダーがいるかといえばこれも疑問です。やはりもっとたくましく、したたかに、哲学を持って進む本物の信頼できる政治家が欲しい。