水俣病の救済案成立へ
2009年07月02日
水俣病未認定患者さんを救済する法案がまとまりそうです。水俣病については発見当時は劇症型が多くそれぞれに水俣病と認定されていったんですが、その後その症状を巡って、水俣病かどうかの判断基準が難しくなってきました。水俣病と認定するか、保留するか、棄却するかなどの判断も、医師によって違ってきました。
明らかにメチル水銀の影響を受け四肢抹消の神経に麻痺があり、さらにその他の症状がある場合が水俣病、とするドクターもいれば、疫学的(その人の生活履歴・例えば魚介類を多く食べていた地域に住んでいた、など)に考えれば、当然何らかの障害があればそれは水俣病であることを否定できないので水俣病である、とする専門家の方もいらっしゃいます。県が設置している水俣病かどうかを判断する「認定審査会」でも意見は分かれるところでした。
そこで医学的に判断を考えていても、水俣病の疑いがある人は高齢化していく一方でこのままだと、皆さんが生きていらっしゃる間の救済は難しい、ということで、平成7年(1995年)政治決着が図られ、四肢抹消の感覚障害のみで水俣病を疑い得ない、として1万人に補償金が支払われ、その代わり提訴中の水俣病関連裁判については全て取り下げるという条件で、最終決着とされました。
しかし、その後最終決着に反対する別の団体が起こしていた裁判で、2004年に最高裁判所がもっと幅広い症状を認めるべき、という判決を出し再び、水俣病の判断基準を巡って論争が続いてきました。
今回の救済策は最後の最後、とされるものです。平成7年よりもっと幅広い症状が認められます。その代わり補償金は以前より少なくなります。約3万人がその対象となり、まさに最終決着が図られることになります。
もちろん自民党はこれに賛成ですが、民主党が反対でした。「補償金をもっと上げるべき」「最終決着ではない」「原因企業のチッソが会社分割などをしてその責任を不明瞭にすべきではない」等の条件が付けられていました。しかし高齢化は益々進んでいきます。背に腹は代えられません。やはり落しどころは政治ですので必要です。
この最終決着を任されたのが園田博之代議士です。私は今回与野党の合意が成立すれば、100パーセント園田代議士の功績だと思います。。他の代議士や官僚では到底あの水俣の状態をまとめられるものではありません。しかも民主党に園田人脈が息づいています。鳩山代表も前原元代表もそのほか水俣病対策に関わっている多くの民主党議員が元さきがけ、で園田代議士の元同志なのです。民主党を説得できるのも、園田さんだからこそ、ということになります。政治は理想を掲げながらも現実の対応をしていかなくてはなりません。現実論にたって物事を纏め上げる力は今の国会議員の中では園田代議士は随一のものです。先に薬害肝炎の問題で国の補償について纏め上げた与謝野馨先生に対して、あれは「与謝野法」と言っても良い、と書きましたが、今回救済法が成立すればそれは紛れもなく「園田法」です。
父園田直先生が厚生大臣当時の昭和40年代に水俣病を「公害病」として認定され、以来約40年、その息子博之先生によって、最終的な決着が成立するなら本当に劇的なことですし、因縁深い政治のドラマと言うことになります。是非成立して欲しい。