いわゆる後期高齢者医療制度
2009年03月18日
昨年大変な悪評を買った「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」の見直し作業が佳境を迎えています。今日も医師会や経団連、連合などを招いてのヒアリングがありました。先週も老人会連合会などの団体から話を聞きました。
批判の主な所は、75歳を区切りとして「後期高齢者」という言葉で別保険にしたことが高齢者の方の心情を傷つけたこと、また保険料を年金から天引きすることにしたこと、扶養家族を全てバラバラにして一人一人が後期高齢者保険に加入することにしたこと、などです。
しかし、論議をしていけばいくほど、この保険制度は理論的には筋道が通っていますし、負担も最小限度の努力はされています。そこは頭の良い役人が知恵を絞っただけのことはあります。しかし、高齢者の方々の心の問題までは思い至らなかったということが、最大の批判を招いた所です。75歳以上で区切られるなら、「それ以上は死ねということか」と言われると返す言葉がありません。扶養家族が保険料を払っていたのに、それがあえて負担が生じる、などは「日本の家族制度の良い面をあえて取り払うとは何事か」となります。また天引きもその言葉がどうも役人的で馴染みません。
しかし、それに替わる制度をどう作り上げるかということになると、あらゆる団体の意見を聞いてきましたが、それぞれに一長一短です。煎じ詰めていくと今回の医療制度が一番無難であり、高齢者と医療費の増加に対応できるギリギリの制度のようにも思えてきます。民主党のように廃止さえすればよい、ということではかえって混乱を招くだけで何の進歩もありません。
本来なら医療費の公的負担をもっと増やすこと、これが根本的な解決法ですが、今の財政事情だとなかなか厳しい面があります。しかし、時間稼ぎは許されません。最大限の制度の見直しと改善を考えていきます。