今年は農業路線の選択か
2009年02月04日
先にも書きましたが、政府の農業に対する考え方が明確になってきました。昨日の朝日新聞の一面で一律減反を廃止して選択性にする、という記事が載っていました。私たちも知りませんでした。減反した所には奨励金を支払い、減反しない所は自由にコメを作っても良いと言う、政策です。何故減反しなくてはいけないのか、減反しなければもっとコメは安くなるのではないか、それはコメの消費を増やすことになるからいいのではないか、という生産者、消費者の意見が聞こえてきます。
しかし、私は危険だと思います。もし減反選択性を取るなら、コメしかできない東北地方はそのブランド力もあって減反なしで作付けをします。一方九州地方などはコメが安くなり作っても採算が取れないならコメ作りをやめます。本来なら他の作物に切り替えますが、農業そのもので生活が出来ませんので農業を廃業するということになります。耕作放棄地が広がり、そこに企業農業が参入してくる、という事になる可能性があります。
東日本ではコメ、西日本ではコメ以外という日本が区分けされた農業になります。そうすると双方にとって不利益になることが多い。
まず西日本は水田がなくなることで、水田が持っていた機能、例えば水の地下への浸透が減り地下水が枯渇します。企業農業で農村集落が持っている機能も失われ生活が都会型になりますが、村落の祭事や助け合いなど数百年かけて造り上げてきた共同体が崩れます。
東日本もコメの価格が暴落して、大量に作っても収入は変わらない、いや低落する可能性のほうが高い、ということになります。
やはり、農業、特にコメ作りは財界人が製造業と同じように、効率化、機能的だけ考えてやっても失うもののほうがはるかに大きく、国家としてはマイナスです。
どうすればよいか。やはり減反政策で生産調整をしながら、農家や集落営農体に対して所得補償をしていくことです。もちろん消費者の理解を得て一定の規模の農家、経営体に対して税金で所得を安定させること、そして地下水や山林、河川や農業用水路、自然環境を守りながら、農村集落という私たちの先人が時間をかけてつくり上げて来た貴重な資源を守っていくことが、日本という島国の国益に最も適しています。この問題は郵政民営化問題などと違い、国の成り立ちと根幹にかかる大きな国家的課題です。