政策・川辺川ダム知事見解について

2008年09月16日

 選挙も近づいてきました。今回の選挙は特にこれからの日本の針路を誤らないようにするため、どのような政策を立てなくてはいけないか、が最も大切です。一つ誤ると、日本も地方も再生できない状態になります。自民、民主の政権奪取戦争ではなく、一つ一つの分野にどんな政策を候補者が考えているかを明確に打ち出しそして有権者の判断を仰ぐ、ということが本筋と考え、これから一つ一つの政策について私の考えを述べさせていただきます。その過程で自民党総裁も誰が今回は良いかが決まってきます。
 (川辺川ダムについての蒲島知事の見解について)
 去る9月11日、九月定例熊本県議会の冒頭で蒲島熊本県知事は42年間ダム建設で揺れ動いた川辺川ダム問題で見解を述べ、「ダムに反対」という意思表示をしました。
 私は県議会議員の時「自民党県連川辺川ダム建設調査委員長」ということで、ダム建設問題に決着をつけるための調査をし、そしてその報告書を書いた責任者です。全国のダムを調べ、清水バイパスをダムの横につくっている「十津川ダム」さらにダムの建設を中止した韓国の事情などもメンバーとともに視察しました。
 結論はダムの是非については専門的な知識も乏しく治水について論理的に述べるというところまではいきませんでした。賛成、反対のそれぞれの立場で論理なんてどうにでもなるからです。ただ政治的に、「これまで40年近く五木村をはじめ流域が賛成、反対で苦しんできた。それを考えると早急な決断をしなければならない。決断に当たって河川工学的なことを除いていうなら、ダムを建設した場合の混乱と中止した場合の混乱を考えるなら、ダムを建設した場合の混乱がより少ない」と結論付けました。
 あれから7年になります。その後も大きく揺れ動いた結果、今回の知事ダム反対表明となりました。私は知事の「川辺川ダムについて」という議会での発言原稿を取り寄せじっくりと読んでみました。
 格調高い文章です。論旨が明快です。結論に至るまでの苦悩がありありと分かります。そして地域への愛着も感じ取れます。私はこれを読んだだけで、知事の判断に従いたい、支持したい、と思います。
 新聞記者的感覚でいうなら、原稿は美辞麗句を並べるわけではなく淡々と書かれています。しかしその中に有識者会議の論理的見解や数字も入れて説得力のある言葉になっています。そして最後に私たちが守るべきものは何か、と問いかけました。そして「球磨川という地域の宝を守りたい」と結論付けられています。
 更に過去40年の歴史に触れ「過去の民意は水害から生命・財産を守る事」「現在の民意はダムによらない治水を追求し、球磨川を守っていくこと」「未来の民意については、人知の及ぶところではない」と記されています。これもなるほどと思わせます。
 このような論理や話し合いのもとで結論が出るまでに、40年かかりましたが、私はそれだけの年月をかけた価値のある知事の見解であると感じました。
 今後反対派もただ「勝った勝った」でなく私たちが今後するべきものは何か、を考えていかなくてはなりません。賛成派も「穴あきダムの可能性」を求めるということではなく、ダムによらない治水の可能性をさらに追求すべきと考えます。
 最後に「洪水を治める、という発想から洪水と共生するという発想に立つべき」と蒲島知事は言われています。同感です。私は暴れ川である白川の流域に生まれ育ち洪水の恐ろしさを見てきました。あの荒れ狂う濁流は人間の力で治められるものではありません。それは自然の何年に一回の怒りの表現であり、荒れ狂うに任せておかなくてはいけないという畏怖の念にかられます。その中で最低、私たちの生命財産を守るためにどうすればよいか、それを考えていくことが本筋であり、共生である、と身をもって思います。
 ただ今回の川辺川ダムのことについて言えば、五木村への振興策と補償、これは国、県が責任を持って実施しなくてはいけないことと強く思います。