問責決議の意味は

2008年06月12日

 参議院で福田総理に対する問責決議が可決しました。総理の問責決議が両院の一方で可決したのは初めてです。
 しかし、なんとも緊張感に欠ける問責提出です。確かに野党が言うように自衛隊の海外派遣や道路特定財源などで参議院を軽視したかも知れません。また、後期高齢者保険制度で国民の反発を買っているのも事実です。しかし、「問責決議」は総理にその資格がない、ということで突き詰めるものです。重大な事件に関与した、とか政策能力に乏しく国家が危機に瀕する、などの場合に提出するものです。いたずらに政局に利用するものではありません。
 しかし、今回は、後期高齢者保険制度にしても今後の高齢者医療が今のままでは破綻する、ということでスタートしたものです。採決の時民主党は確かに反対しましたが、法制定から2年間過ぎています。この間一貫して反対運動や廃止運動をしてきたのでしょうか。結果として国民の評判が悪かったからといって、その悪評に便乗しただけではないでしょうか。そのほかの案件にしても、国会の審議に民主党が全く乗ってこない、だから成立しなかったり、法律の期限が切れたりして、国会が国民の要求に答えられない状態になっている、それを「総理が不適格者だから」と問責できるのでしょうか。本末転倒です。
 しかも、問責決議を可決した以上、あとは福田政権を認めないんですから、参議院は一切の審議を拒否することになります。サミット後に日本の環境対策をどうするか、食糧戦略をいかにつくるか、などまさに日本の将来をきめる大切な課題があるのにこれを放棄するという、政党として国会議員として自殺的行為をとらざるを得ません。
 更に会期末ギリギリになって提出したということは、形だけつけようという形式主義に他なりません。これだけ石油高や飼料の高騰等で国民の皆さんが苦しんでおられる時に、政局戦略やパフォーマンスでは問題の解決にはなりません。本当に自らが犠牲的覚悟を持って、正攻法で問題に取り組まなければならない時だと確信します。