国家戦略の大切さ

2008年01月20日

 金曜日の国会開会日の首相の所信表明演説と大田経済担当大臣のそれぞれの所信表明演説は、大きく違うものでした。それだけに今の日本の進むべき道の難しさを物語っています。
 福田総理の演説は国民に軸足を置いて安心安全の国や社会をどうつくっていくか。昨年の参議院選挙の反省と小泉改革の行き過ぎ、を頭に浮かべながら地方や高齢者、弱者に配慮したものでした。
 しかし大田大臣の演説は逆とも思えるものでした。日本の経済はもはや一流ではなくなった。バブル崩壊後の建て直しに躍起になっている間に中国をはじめ諸外国に遅れをとった。世界のダイナミックな変化に取り残され今後成長していく枠組みはいまだに出来上がっていない。と成長力強化を訴え小泉路線の継承を訴えられておられるようでした。
 福田首相の演説も政治や日本のあり方に対してもっともと思いますし、大田大臣の演説も説得力がありこれからの日本を考えると、矢も立てもいられない気分になってきます。双方とも正しい。両立できれば一番いい。しかし、優先順位はつけていかなくてはなりません。
 昨夜は歯科医師会の方々と新年会。その場でもそんな話になりました。これからの日本を考えるとどんな選択が最もいいのか。考える基準はやはり自分の置かれている立場から考えます。歯科医師はいまや経営的にも大変な危機を迎えています。働いても働いても収入が増えない、いわゆるワーキングプアーと訴えられました。もっと抜本的な医療対策を。しかし、それには予算も伴います。厚生労働省の予算は医療費などを中心に年間2千億円以上抑えていくのがシーリング。現実問題を考えると太田大臣の言われることを果敢に実行していこうとすれば、再び大変な痛みが伴うことになります。
 保障と安心と成長と自立。それを政策という形で具体化すると相反するものになります。現代日本の行くべき道や優先事項の選択が問われます。政権を担当する内閣の苦悩でもあります。国家戦略を描いていく必要があります。