福田新総裁の誕生

2007年09月24日

 自由民主党の新総裁に福田康夫氏が就任されました。安倍総理の突然の辞任に始まった今回の総裁選、日本の進むべき方向や政党のあり方や政界再編を考える時大きなターニングポイントになるかも知れません。それだけに政治に携わるものが、自分の理念をしっかり持っていなくてはと思います。
 今回の総裁選の争点のひとつに、中央と地方の格差がありました。福田さんも麻生太郎さんも、地方の再生を強く訴えておられました。しかし、ここまで構造的に地方が厳しくなってくると、そう簡単に地方の活性化は出来ません。
 まず、地方とはどんなところを指すのか、その定義さえもはっきりしていません。東京、大阪、名古屋といった今元気がいいところ以外なのか、それとも山間僻地のことなのか、平坦部も地方中小都市も加えるのか、その定義や範囲さえもごっちゃにして論じられている現状です。これでは地方再生という言葉も意味を成しません。今の地方にとってどこをどう変えなくてはいけないか、実は国家体制にもかかわる問題です。東京を中心とする経済が地方に波及してこなくなった構造を考えると、根本的なことから論じていかなくてはなりません。それは今の霞ヶ関官僚支配と衝突する話になってきますので、政治家が軸足をどう置くか一人ひとりが問われるところです。
 福田総裁が掲げた「自立と共生」はこれからの地方にとって最も大事な言葉です。しかし「自立」と「共生」は相反する意味を持っています。「自立」のためには相手を押しのけてでも一本立ちする、という気概が必要です、しかし「共生」はお互いの助け合いです。これらを一緒に実現させることは容易ではありません。これからの地方を考える時、まず「共生」が大切です。財源、人口、職場など生活するうえでの手段が乏しい地方においてまず「共生」の気持ちで助け合いながら生き抜いていかなくてはなりません。度を越した抜け駆けによる「自立」は「共生」に相反します。その上で集落や団体、また家族が自立していかなくてはなりません。そう考えると地方においては「自立と共生」ではなく「共生がありそして自立」と順序が逆になります。そこへ行くと都市はすでに「自立」している部分が数多くあります。しかし「自立」だけでは社会はバラバラになります。だから「共生」の精神が必要になってくる。都市では「自立と共生」でいいのです。
 そのように考えてくるとその地域が「共生」を先に考えるか、「自立」を先に考えるかで地域の性格が分かってきます。それが地方と中央の分かれ目かもしれません。
 しかし「自立」「共生」ともに大切な理念です。家族、地域、農業、集落、企業、商店街、各種団体そして老若男女全ての方々に考えて欲しい。その中で政治の役割がどこにあるかを考え、実践しなくてはいけない、と思う次第です。