周恩来首相

2007年03月20日

 以前、中国の周恩来首相に心酔し、学生時代に周恩来の写真を下宿に貼っていたこともあります。下宿が目白台。田中角栄邸のすぐそばで時の田中首相が日中国交回復を実現して凱旋した頃でした。目白台の町内会は日の丸の小旗を持って自宅に帰る田中首相を大歓迎しました。まさに田中角栄絶頂期でした。
 そうでなくても、周恩来のあの意志の強そうな顔つき、鋭い眼光と太い眉、気品あふれる身のこなしに、あんな政治家が日本にも欲しいと思っていました。特に毛沢東主席が好きでありませんでしたので尚更、周恩来に応援していました。しかし中国に行ったとき市民の方々に聞くとやはり、尊敬する人物は当時は毛沢東、という答えが返ってきていました。多分本心は周恩来で、毛沢東は国家主席なのでそう言わされているのだろう、と解釈しました。
 昨晩たまたま、テレビで周恩来と民間人で日中国交回復に尽力した岡崎嘉平太の特集をやっていました。
 周恩来の姿を久々に見ました。何回見てもやはり気品あふれる姿です。日本で学んだこともあって日本の重要さを理解している方でした。「軍隊がいない今の日本に戦争賠償を要求しない」「日中国交回復のために、先ず井戸を掘った人の恩は忘れない」など周語録が出てきます。
 日本の右翼やタカ派政治家が中国共産党の中国を蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っていた頃です。その時に日本に差し伸べた国交回復という外交。周恩来の将来を見通した見識と広い心に打たれます。今では経済面で日中の交流は欠くことの出来ないものとなりました。
 翻(ひるがえ)って今日本が蛇蝎のごとく嫌っている国家はどこか。それは「北朝鮮」です。拉致と核の問題が最大の原因です。しかし、もし今の日本に周恩来のような政治家がいたら、北朝鮮との外交をどう処理するだろうか、と想像します。拉致や国家的な偽札づくり、麻薬栽培まで手を染める犯罪国家。しかし手を染めざるを得ないところまで来てしまったかわいそうな国家でもあります。
 今のままの圧力路線をとるのか、それとも・・・。周恩来の声を聞きたい。
 明朝の辻立ちは祭日のため休みます。