復党問題、筋と情

2006年11月24日

 郵政造反組で無所属となっている衆議院議員の自民党復党問題が大詰めを迎えています。昨年あれほどの選挙をやっただけに、難しい問題です。私にとっては民営化反対で一緒に行動していた仲間や先輩ばかりです。特に地方の議員が多く、人間的にも幅が広く気持ちとしては同じ政治姿勢を持っている方ばかりです。本当に人間味あふれる人材ばかりです。それだけに「筋」と「情」の狭間で悩んでしまいます。
 しかしこの郵政民営化問題には政治と選挙と政党が抱える様々な問題を含んでいます。単純な問題ではありません。
 郵政民営化については当初、自民党の半数以上が反対でした。その反対も二種類ありました。一つは「民営化そのものに反対」、もう一つは「いずれ民営化は避けられない。しかし、今の中期経営計画の推移を見てから」と言うものでした。後者の考えの方は徐々に賛成に回って行きました。
 その後、派閥の長が賛成を表明したところはほとんどが賛成に回りました。長が反対もしくはあいまいなところ、亀井派や当時の旧橋本派の方々が反対として残りました。最終的に執行部の何回かの説得で、反対派は少数になりました。最終の説得組の中に私もいました。このように十数回とも思える説得を経て最終的に反対票を投じた議員が二十人ほどです。この反対者は理由は「民営化絶対反対」「小泉内閣倒閣運動」など様々な事情があるとはいえ「確信犯」です。
 そして国民投票とも言うべき郵政選挙を終え勝ち上がってこられたのが、平沼先生以下12人です。総選挙という形の郵政投票は民営化賛成という結果でした。その後反対票を投じて当選されてこられた方も、改選後の国会では平沼先生を除き、賛成票を投じられ民営化法は成立しました。
 以前の自民党だったら、「情」で造反組で離れた議員は無条件で復党でしょう。中選挙区制の下、自民党にはしまい込むポケットがいくつもありました。しかし、小選挙区制と言う制度のもと、対抗する民主党との対立軸もあり、党の統一した理念というのが求められるようになりました。そう考えたとき、郵政に反対したということは、郵政という一つの問題にとどまりません。党の理念にそむいた、ということになり、その「筋」をどうするか、が問題となります。しかも解散までしたんですから。でも一方で政治ですから、そんな役人のような理屈をこねて戦いに勝てるか、ということも言えます。
 今回の場合は、私は「筋」が大切と考えます。中川秀直幹事長が言うのが正論。中川昭一政調会長や青木参議院幹事長の言うようなことですんなりと今復党させれば、あの大騒動は何だったのか、ということにもなります。
 政党は理念と筋を、しかし選挙は造反組の力も借りて総力戦で勝たなくてはなりません、相反する命題を抱えて、「筋を通せば情がなくなる、情にさおさせば筋が流される」とかく政治は難しいものです。しかし、やはりここは筋を通すべきではないでしょうか。