教育基本法
2006年11月17日
教育基本法改正案が衆議院を通過しました。昭和21年に制定された教育の憲法とも言うべき法律の60年ぶりの改正です。民主党をはじめとする野党が欠席のまま採決となったことは、大事な法律であるが故に残念です。
この法律の改正に当たっては、私も議員時代かなり関わって来ました。自民党の中の教育基本法改正の議員連盟、また文教部会にも出席させて頂き、改正案の条文作成に意見も述べさせてもらいました。それだけに、今回の改正案の衆議院の通過は喜ばしいと思います。野党は審議時間が短い、と言っていますが、改正案作成までには多くの議員が時間と知恵を費やしてきましたので、「審議時間が短い」という批判は当たりません。
戦後、新憲法の下で出来た教育基本法は「自由」「民主主義」「個性」「平等」などが強調されていました。これに対して今回の改正案は「公共性」「国や郷土を愛する気持ち」「家族」などを強調しています。自由と個性の教育から規律と公共性に重心が移りました。これだけ社会が爛熟して、犯罪などが横行する現状では、規律や秩序、愛国、愛郷などを大切にする心を養う、ということは当然と言えます。
私が不満なのは前文です。現行の教育基本法の前文の方が、格調があり希望に満ちた表現になっています。今回の改正案は、何かしら事務的な文言です。基本法ですからもっと教育と人間性に触れる哲学的な言葉が欲しかった。
しかし、全体的に至極当たり前のことが盛り込まれていると思います。これまでの11条が18条に増えたことも、教育がより複雑で難しくなってきたためです。
いじめによる自殺、教育現場の隠蔽体質、家庭教育の堕落、やらせミーティングなど官僚体質の横行。今こそ教育を論じる時です。基本法を前提として更に教育論議を深めたいと思います。