農業の経営形態

2006年10月17日

 わが町に進出したある健康食品メーカーが、5400アールの圃場と契約し、その全てが農林水産省の有機JAS規格を取得した、という報道が出ていました。農家の経営形態が変化している一つの象徴だと思います。こういった契約になると農家もこれまで以上に神経を使い、品質の規格化、定量化、出荷時期の厳守を義務付けられてきます。下請け工場の生産と同じようになります。その代わり定期の現金収入が得られるということになります。
 現在外食産業や居酒屋チェーンが有機農産物の契約栽培を進めています。そしてそれらの企業は、食に関係する産業だけでなく、介護産業、老人マンション、保険会社との提携などを進め、高齢社会を見据えた、高齢生活産業へと形を変えています。その一翼を農家が契約栽培というかたちで担うことになります。
 これまで農家はJAを中心に、共同出荷、共同販売が主でした。多少品質に難点があっても、そのブランド力と協同組合という仲間意識で合格するということでした。しかし、消費者の要求が厳しくなり、少量多品種を要求するようになると、その方式も通用しなくなってきがちです。小回りが利き、厳しい商品チェックということになると、こういう民間企業の出番となリます。農家にとってはこれまでのような、おおまかな事では許されなくなり、大変でしょうが時代はそのように進みます。
 各農家も経営形態を多く持つべきときに来た、と思います。契約栽培をしながら、安全網としてJAにも出荷する、というような、取引先を農家が選択していく、多様な経営形態が求められています。
 現在進められている担い手中心の農業、さらに集落営農の法人化もこのような取引や企業との契約を認めるような、柔軟な対応が求められると思います。
 単一の経営形態でなく、複数の団体、企業とチャンネルを持ちながら農家、農業法人の経営を考えていくことがこれからの農業を、競争の中で消費者と結び付けさせ、きついけれど安定した農業形態をつくり上げていくことになる、と思います。
 明日の辻立ちは、早朝行事のため休みます。