川辺川ダム問題

2006年03月09日

 熊本県の川辺川ダム問題、水俣病問題に対する取り組みの姿勢に疑問を感じます。特に川辺川ダム問題を見ていると、どうも行政としての方向性が見えてきませんし、県庁という一つの組織としてのまとまりにも欠けるものがある、と感じます。
 先日の新聞で、農家への農業用水の配水、いわゆる利水事業で県はこれまで国が出したダムから農業用水を引く案、またダムに頼らないで河川から農業用水を引く案とは別の、県独自のダムに頼らない農業用水取水案を提示しました。「そんないい案があったんなら、国や県議会と相談してもっと早く出せよ」といいたくなります。川辺川ダム問題には中立といいながら、ダムに頼らない案をそれも県独自の案として突然の形で出してくることは「いいとこ取り」のような気がして、自民党県連が怒るのも無理は無いと思います。
 県庁職員もそれで良いと思っているのだろうか。会社でいえば社長の考えと、取締役、各部長の考えがバラバラであるから、こんなギクシャクした関係になってしまうんではないだろうか。
 私が県議のころ「川辺川ダム問題調査プロジェクトチーム」というのが出来ました。若手の県議5人がメンバー。不肖私が座長を務めました。幸山熊本市長、地元若手県議らがメンバーでした。結論は「ダム建設計画から三十数年たった現在、いたずらに時間をかける事が地元にとっては一番残酷なことである。どちらにしても速やかな進行が必要。残り本体着工を残すのみとなった今、建設を中止する混乱と、建設着工する自然へのリスクを比較したとき、出来るだけ早く着工し、その上で自然環境への対応策をこれまで以上に講じるべきである」という結論に達し、自民党県連会長に答申し、知事に報告しました。期間は半年をかけ奈良、和歌山のダム、韓国で建設中止になったダムなども視察し、当時としては画期的な調査をした、と思います。もっとも、財政状況がこれほど逼迫(ひっぱく)した現在になると考えは当時と少し違っていますが・・・。
 同時に八代郡坂本村の発電専用ダム「荒瀬ダム」の撤去問題についても別のプロジェクトを立ち上げ、こちらは、村長、区長、議会とも撤去を望むということで、撤去の答申を出しました。こちらはすぐに実行されることになりました。
 ダム問題は四十年近く争われてきました。地元にとっては外部の人間の賛否両論に振り回されもうたくさんだ、という思いが強いと思います。国土交通省が、ダム着工に対して甘い見通しを持っていたことも問題ですが、熊本県の優柔不断さも問題と思います。苦しむのは地元です。
 そして、県庁のトップは表面的に中立を掲げ県民の動向に下駄を預けるのでなく、その成否をかけて、県民に信を問うべきです。長野県知事のように、脱ダム宣言か、ダム建設推進かをはっきりさせて選挙に臨むべきと考えます。それが、政治であり、トップが果たさなくてはならない責務です。まだ書きたいことは山ほどあるけど今回はこの辺で収めます。
 明朝の辻立ち7時半高森交差点、8時白水。