テレビ局
2006年01月24日
ホリエモンことライブドアの堀江貴文社長が逮捕されました。不当な株のつりあげ疑惑、アンフェアーな企業買収疑惑、また証券取引法違反疑惑。これらに対する罪の意識の薄さなど、裁かれて当然ではないでしょうか。また、それ以外にも日本のIT企業に与えたイメージダウン、個人投資家の失望感、さらに現存の企業に挑戦しようとしていた若い起業家への挫折感など、その罪は、法律違反以外にも計り知れないものがあるように感じます。
それについては私自身充分理解していますが、あえてテレビ局に物申したい。
昨夜、帰ってテレビをつけると通常の番組を変更して特別番組でホリエモン逮捕の報道をやっていました。堀江社長が護送車で運ばれるシーンもヘリコプター撮影で実況中継されていました。
このような大々的な報道は田中角栄元首相が逮捕されたり、あのオウム真理教教祖の麻原彰晃が逮捕されて以来のことではないかと思います。同時に元首相の犯罪や悩める人を洗脳し何人もの方々の命を殺めたかわからないエセ宗教家と同じような価値のものだろうかとも思いました。
企業の創業者はかなり無理なことをします。既存の企業に追いつくため、法律違反ギリギリのことをしてきます。戦前、戦後、新興勢力というのは、それまでの財閥に追いつくため、常にそうして来たと思います。
しかし、それが表沙汰にならなかったのは官僚、そして政治と結びついていたからです。テレビ局も一緒です。常に官庁と手を組みながらやってきました。テレビ局の監督官庁は旧郵政省、テレビ局の重要ポストはキー局、地方局にかかわらず郵政省幹部の天下り先として準備されていました。
地方テレビ局やFM放送の許認可で各社争っていたころ、許認可を得るためにテレビ、新聞社は、記者クラブにそれ専門の記者を送り込んでいました。電波の許認可を取るための記者ですので私たちは「波取り記者」と呼んでいました。それほど放送、政治、官庁は一体でやって来た。その証拠に政治家の息子、娘がどれほど多くテレビ局に就職しているか、一度調べて見るとわかります。
特にNHKの予算を審議したり電波法、放送法を扱う逓信委員会に所属しているなら子弟の就職は一発だったと思います。政官財連携の中でやって来たテレビ局が異常なまでの報道体制をとるのは、どう見てもIT企業家に対する反発、また、テレビ、放送の分野に進出して来た彼らへの報復としか受け止められない部分も感じます。
テレビ局に果たして正義を語り、市場経済の今後を論じる資格があるのだろうかとも思います。そのテレビ局が正義の味方となってホリエモンを裁くことはどうもいまいち引っかかります。
バラエティーとクイズ番組と料理番組しか作れなくなったテレビ局が、これから1週間、これ幸いとホリエモンをネタに湯水のような報道をするのでしょう。
小泉劇場をはじめ、なにかひとつ起きた時の報道の氾濫と一緒。うんざりもします。
もっと地道に、もっと深く、もっと静かに国民に考えさせるような報道は出来ないものかとも感じます。
ついつい過激になってしまいました。強く、また、正義顔して出られるとどうしてもそれに向かいたくなるのでこんな文章になってしまいました。
これ以上書くとテレビ局の親戚である新聞社のことまで書きそうなのでもうやめますが、評論家の一時的なコメントは参考にするくらいにして、じっくりと今回の事件を反省し、これからの社会に備えたいものです。
明朝の辻立ち。7時半山鹿、8時すぎ鹿本。