孫正義氏

2005年05月27日

自民党一期生の勉強会である「夢づくり道場」にソフトバンクの社長孫正義氏が招かれ講演をしました。大変有意義な、中身のある講演内容でした。
 孫氏は「政治家は30年、50年の国のあるべき姿を考え、実行しなければいけない。会社の社長も一緒だ。2、3年をどう乗り切ろうとするのかを考えるのは官僚だ。そこで、もし私が政治家だったら30年後の日本の姿を考える。軸は4本だ。GDP、税収、国家予算、人口である。この4つを30年後にどういう数字にするかということで、国の姿が見えてくる」と経済人らしい考え方を示されました。しかし一方で「私の好きな人物は坂本竜馬だ。金も名誉も地位もいらない。ただ日本の将来のことだけを考えて走り回った。こんな人物が一番扱いにくい、と言ったのは西郷隆盛だがその西郷さんも国と国民のことだけを考えていた。幕末から明治にかけて180度、国の体制が変わっていく中でこのように命をかけて戦っていった政治家、経済人が数多くいたことは本当に驚くべきことであるし、そんな日本は素晴らしいと思う」と今の政治家がポストや金にきゅうきゅうとしている現状を暗に批判されました。
 また自分自身のことにも触れ「私は韓国3世です。日本国籍を取得したのはつい8、9年前です。小さいころは安本正義という名前の韓国人でした。しかし日本で生まれ育ったため韓国に行けば外国人扱いです。一体自分は何人なんだと思うこともしばしばでした。そんな中で日本人として生きよう、と決意しました。生まれた時から国籍がはっきりしていることがいかに恵まれていることなのか皆さんはもう一度考えそして感謝すべきと思う。ただ23代前は中国人です。ある戦いに敗れ韓国に亡命したと記されています。アジアの血が私の体の中には張り巡らされている」と言われました。国際感覚もその辺から来ているのだと思います。
 もっと広い視野で、そして命を懸ける使命感を持って太く、志を高くして政治に取り組んでほしいと言われていると受け止めました。言葉の力強さ、物怖じしない堂々とした態度、小さい体からほとばしるエネルギーからは、まさに幕末、明治の志士の雰囲気を感じました。さすが世界をまたに駆けた人物と感服しました。