教育と就職

2007年05月19日

 学校法人の理事をさせていただいていると、この数年の少子化の影響をもろに感じます。今生まれてくる子供たちはもっと少なくなっていますので、各大学、高校などは本当に深刻です。
 ベビーブームの時を念頭につくられた学校。既に大学も高校も、専門学校も過剰状態です。定員割れのところは続出しています。私が関係している学校法人もいかに持続的に学生を集めることが出来るか懸命の試行錯誤をしていますが、これといった特効薬はありません。全国の学校の募集要項をインターネットで見ていますが、各校ともさまざまな努力をしながらの学生集めのようです。しかし、小手先の手段はすぐ見破られてしまいます。地道な努力が必要です。いよいよ選ばれる側に学校が立ちました。
 私立学校はそのような危機感をみんなが持っていますが、国立・公立はまだそこまで行っていないようです。学校再編にしても懸命さは今ひとつだし、先生たちものんびりしたものです。
 しかし、一方で教育とは何かの命題も突きつけられます。人を育てるということの重要性は経営とはまた別のものです。生き残りのためにあらゆる手段をとる事と教育はまた違った意義を持ちます。難しいところです。
 教育とは何かという問題にぶつかります。私の地元の公立の技術短期大学校は毎年就職率100パーセント。半導体メーカーや自動車関連、家電企業に就職が決まります。それもそのはず中間管理職の技術者を育てるという目標がはっきりしているからです。企業は喜んで採るはずです。
 しかし、就職や資格が全てだろうかとも思います。私のような私立文系の人間のひがみかもしれませんが、もっと哲学的なことや社会学的なことの教育が大切ではないだろうかとも思います。
 しかし、結論はやっぱり就職であり、資格でしょうね。しかも国際的に通用するような専門性が必要なところです。私のように何もない人間は、みんなの助けがなかったらどんなに偉そうなことを言っても、飯を食えないんですから。
 教育は難しい。しかし手をこまねいていてもいけない。現実的な対応を迫る教育再生会議と過去を踏まえ改革に慎重な中央教育審議会のバトルも見てみたい。