やはり道州制かな

2007年05月12日

 再来年のNHK大河ドラマの原作「天地人」(火坂雅志著)を読みました。上杉謙信と武田信玄が争っていた時代から物語りはスタートします。上杉の家臣にかぶとに「愛」を書いて、またその旗を染め抜いて戦っていた武将がいる、その武将こそ上杉の参謀で天下の切れ者といわれた「直江兼続」(なおえかねつぐ)でした。新潟出身の作者はこの人物に惚れ込み、直江を中心とした戦国から、織田、豊臣、そして徳川幕府までの戦乱の世の人の生き方を、壮大なスケールと丹念な調査によって描いています。
 面白かった。表現力に優れた司馬遼太郎のような派手さはないものの、歴史小説としては、フィクションも交えてなかなか読ませました。
 時代は京都を中心に展開します。越前、越中、加賀、越後、甲斐、駿河、等の地で浅井や柴田、毛利、佐々木、上杉、武田、徳川らがその覇を競います。それぞれが国の生き残りをかけて戦う様は、今の政治とその必死さにおいて比較できません。
 それより寂しかったのは、この中に九州は出てきません。時代小説、特に天下とりの日本の歴史に九州が登場してくるのは、明治維新だけです。小田原出身の女房に「やはり日本の歴史は京都と東京を取り巻く地域で展開されてきたのかなあ」と言うと、「当たり前よ。九州はこれらの地域の人から見ると別の国だから」と言います。
 やはり地政学的にそうなのでしょう。京都をいかに獲るか、東京をどう治めるか、となると九州はあまりにもそれに関わりあうことに不利です。ならばやはり九州は九州で独自で行ったほうがいい。九州の歴史と文化、そして政治を造り上げたほうがいいのではないか。やはりいつも言っている「道州制による九州政府」を作ったほうがいいのではないかな。もちろん中央政府とは連携していきますが、自らの国を自らの力で造ろうとする努力はすべきと、この小説を読んだ後思ったところです。我田引水かな。