航空幕僚長の言動
2008年11月12日
自衛隊の航空幕僚長が懸賞論文で「日本は侵略はしていない」という趣旨の私見を発表し問題となりました。結局定年退職、退職金も正常に支払われることとなりました。
内容については、個人個人の思想と信条ですので別に構いません。問題は現役の航空幕僚長、自衛隊の制服組のトップです。隊員をまとめていかなくてはなりません。まとめていくために指揮官として一番大切なことは、日本を守ることの論理的根拠を全隊員に理解させること。それは日本の政府の見解から始まるのです。それを逸脱して、持論をとうとうと懸賞論文に発表すること、そのことに何の違和感を本人が感じないこと、それだけで幹部として失格です。更には持論を国会で展開して悦に入っている、この種の人は某大臣と一緒です。一種の自己陶酔型の人間です。自信があるのかもしれないけれど、上に立つもののバランス感覚は著しく欠けています。
私が防衛大臣なら、「うぬぼれては困る。公務員として政府の一員として退職するまでは公僕としての姿勢が必要だ」と言います。そして懲戒を言い渡します。それに従わず「審査会にかけて欲しい」と言うのであれば、こちらも辞表を出して、どっちがやめなくてはいけないかを国に問いかけ戦います。もし防衛大臣が負ければ日本のシビリアンコントロール(文民統制)の終焉です。
これらを甘くしていれば、武力集団は益々勝手な行動に出ます。最終的には2・26事件のような軍事クーデターに発展します。現在、官僚の天下りや無駄遣い、経済が疲弊する一方で自民・民主両党が政策に手をこまねいている状態ですので、軍人が現状を批判する要素は数多くあります。クーデターが起きてもおかしくはありません。それだけに厳しい処分が必要です。
「亡国のイージス」という福井晴敏さんの小説があります。3年前にベストセラーになり映画化もされました。自衛隊の一部が勉強会を重ね「今のままの緩んだ日本の防衛では国は守れない」ということで、朝鮮半島の軍人と共謀して日本のイージス艦をのっとり、東京湾から東京に向けて核ミサイルを撃ち込もうとする小説です。日本のたるんだ姿勢を修正させるのが目的の小説です。最後は主人公の行動で核ミサイルは発射されなくて済みましたが、色々と考えさせられる小説でした。
きっとこの幕僚長もこの小説を読んでいると思います。しかし、やはり軍隊です。国民の意思を大切にして政府の管理のもとに進んでいかなくては、日本が自壊してしまいます。
先の定額給付金のブレもそうですが、もっとキチント管理して公務員に対しても厳しく対処していかなくては、政府としての統制が取れなくなります。