一般財源をどう使う
2008年05月14日
昨日、向こう10年間に59兆円をかけて日本の道路を整備する「道路財政特別措置法」を3分の2の条項を使い衆議院で可決しました。その朝にはガソリン税など自動車関連税は21年度から道路への特定財源としてではなく一般財源化する、という事が閣議決定されました。
「道路特定財源を使って10年間で道路を整備する」という国会の議決と「来年度から特定財源は一般財源とする」という閣議決定は矛盾しています。
しかし国会議決のほうは、とりあえずこの議決をしなければ今中断している道路工事の再開が出来ない、今年の地方への道路交付金が出せない、などの急場をしのぐもので、閣議決定が優先されます。今年一年の国と地方の混乱をまず回避するためですのでご理解いただきたいと思います。
問題はこれからです。国と地方に割り振られていた5兆4千億円という道路特定財源がこれから自由に使えることになります。まずこれを道路以外に全部使うことになれば日本の道路は全く出来ないことになりますのでこれは非現実的です。
そこで道路にどれだけ振り向けるかの作業から始まります。ここでこの道路は必要だと言う論議ばかりになると、全てがこれまでと同じ道路に投入されることになります。ですから結果として道路予算はこれまでより小さくなります。
次に道路以外の財源をどこに振り向けるか。こんどは各省の猛烈な争奪合戦になります。それは地方も一緒です。地方にはその使い道を限定しない一般財源として割り当てられますので、地方の優先順位をどうするか地方自治体の姿勢が問われます。
一般財源化は国・地方に争奪戦という混乱をきたすかもしれません。しかしそれは国と地方が今、何にお金を使わなくてはいけないかを問いかけ、それに対してどう住民が判断するかの、主体性を求められることになります。これからが地方の自立に向けての胸突き八丁です。予算をつけるものと捨てざるを得ないものを、それぞれが判断していかなくてはなりません。当然痛みが伴います。