後期高齢者医療保険制度

2008年04月15日

 後期高齢者医療保険制度が今日から事実上のスタート。年金から保険料が天引きされます。この「天引き」ということに反発が強まり、今、後期高齢者医療保険制度は反対の大合唱です。厚生労働省関係は年金問題も含めてよくまあ、こんなに批判の的になるな、と感心します。
 理由は二つ。ひとつは高齢社会がいよいよ本格化してきて、医療、福祉、介護、年金に大変なお金が必要となり、高齢者自身に負担してもらわなくては、若者で支えきれなくなった。その政策面での実施が次々に始まり、折悪しく原油の高騰や食品の値上がりで国民の負担が重くなっている時期だけに一層政治への不満が募ったこと。二つ目は制度が変わることに対する官僚の安易な考えとそれを重く受け止めきれない政治家の責任です。
 今回の後期高齢者医療保険制度は小泉内閣の時に決まっていました。高齢者にとっては今までもらっていた年金が天引きで減るわけですので大変なことです。しかも国民年金は6万円とちょっと。天引きされる負担感は大変なものです。それを官僚の感覚で言うなら「高齢者が増えてきたので、医療費の削減は当然。これまでおんぶに抱っこの高齢者だったが今後は自己負担の責任も持ってもらわなくては。天引きは保険を人力で集めるよりはずっと安全で効率的な手法」というクールな考えと思います。これはある程度当たっていますが、国民共済や公務員保険で保障されたサラリーマンの考え方です。
 この高齢者と官僚の考え方の開きに政治家が気づかなくてはいけない。「国民の方への広報、説明は大丈夫か」と念を押して何回も何回も言い聞かせなくてはいけない。制度が変わるということはそれほど大変なことなんです。しかし政治家もいつの間にか国民の感覚を忘れている、そして官僚の論理についつい納得してしまっているということではないでしょうか。
 後期高齢者医療保険制度は説明すれば分かってもらえる部分が多いと思います。①これまで世帯主が一括して払っていたのを、75歳以上の方全員が保険証を持ってもらう。ですから世帯主の支払い分は少しは軽くなります。そして原則として一割の自己負担をしてもらう②病院を一日転々として腰や糖尿病や痺れの治療をする、というのを少しでも避け、医療費を削減するためかかりつけ医師を決めてその医師の指導に従う③これまで市町村で管理していた国民健康保険は後期高齢者医療保険制度となって県で管理することになるーと言うことです。このことをもっと分かり易くPRしておかなくてはなりませんでした。マスコミの協力などを得て官僚の発想ではない説明のしかたがあったはずです
 民主党が騒ぐほどの悪法ではありません。しかしこれだけの騒ぎになれば何らかの対処が必要になってくるかもしれません。農業の品目横断的経営安定対策と一緒です。改善策は余り複雑にならないように、屋上屋を重ねないようにしなくてはなりません。みんなが考える時です。