選挙の在り方
2006年12月05日
福島、和歌山県に続き宮崎県の知事も辞職に追い込まれました。こういう問題が起きる根本原因を考えなくてはなりません。それは最初知事選に出馬するときの「選挙」に尽きます。私も知事選挙の財務を担当したことがありましたが、それこそ莫大な金額が出費されていきます。
例えば県内の有権者が100万人とします。出陣式のはがきは枚数が制限されていますが、少しでも票を集めようとするなら、何らかの形でお知らせします。世帯数70万軒として一軒に一枚のお知らせを郵送でしようとすると、はがき50円として郵送料だけで3500万円です。印刷代は別です。候補者の公約を知ってもらうためにリーフレットが必要です。更に名刺も。それぞれ100万枚以上用意しなくてはいけないかもしれません。リーフレット、名刺、平均して一枚50円ほどとします。しゃれたものを作るならもっとかかります。200万枚の50円として一億円。更に選挙事務所は一つですが、連絡所は県内にいくつか必要。パソコン、ファクス、レンタルの椅子、机、冷蔵庫、テレビ、炊事場、トイレなどひと通り家財道具と同じようなものを備えなくてはなりません。
つまり「さあ出馬しよう」と決意して、必要最小限の準備をするだけで億のお金がいる、ということです。その後、人や車を動かし、決起大会などのイベントを県内各地で実施しなくてはなりません。それこそ選挙が激しくなると、「湯水のように」になります。もちろんボランティアの部分はかなりありますが、それでも多分本人はもとより、事務所も実際にいくらお金がかかっているか分からない部分もあると思います。また本人がお金の計算をしていたら戦いは出来ません。
そして選挙終了。終わったあとに、あそこから人や物、その他をどれだけ出してもらった、などの報告が来て、その借りを何らかの形で返さなくてはならない、ということになり、今回のような談合や天の声、につながっていきます。
衆議院、県会議員選挙など議員選挙は本人の意志が強く反映され、本人の気持ちの持ち方でかなり出費を抑えることが出来ますが、県知事のように権限が強い首長選挙は本人の意志以外に周囲の思惑と組織戦による戦いとなります。候補者が役人出身ならなおさら周囲の政治家に丸投げで御輿に乗っているだけ、となります。今後4年間の組織や企業や個人の運命がかかっている選挙です。必死になるのは当然です。それだけに当選したあとは「投資した分」の要求が来ます。
選挙は民主主義の原点ですが、こんな現実をかいくぐらなくてはなりません。しかし、それでもそれらをクリアーしているクリーンな候補者、知事がおられることも事実です。それは本人の政治や選挙に取り組む意志と姿勢の強さです。
候補者本人の意志を高め、選挙の在り方、選挙助成金の再検討、そして選挙違反の厳罰化などを総合的に考え、選挙違反を出したら今以上に本人にその責任が及ぶ仕組みにしていく事も大切です。更に今回のような摘発も必要です。
明朝の辻立ち7時20分西原、8時菊陽役場北。