令和7年度当初予算案が衆議院で可決

2025年03月05日

 久々にブログを書きますが、これは自民党の国会対策委員長という役職柄、野党との水面下の話し合いが多く、なかなか公式に報告する機会がないためです。しかし、昨日の4日、野党の皆さんとの粘り強い話し合いの結果、私の最大の任務である「令和7年度当初予算案」が衆議院本会議で可決し参議院に送る事が出来ました。改めてご協力いただいた全ての皆様に感謝するとともに、一連の経過をご報告いたします。

1月24日の召集日から野党との話し合いは始まった

 今年度の通常国会の召集日は1月24日でした。昨年の衆議院総選挙で少数与党になった私たちは、昨年の臨時国会で過半数を持たない悲哀を嫌というほど味わいました。しかも予算を審議する予算委員長は野党のポストになりました。野党の皆さんが結束すれば、予算案も法案も通らず、不信任案や解任決議案も成立してしまいます。そのため臨時国会でも補正予算案は野党の要求を組み入れて修正予算として成立させました。

 当初予算は補正予算よりはるかに規模も大きく、政府提出の予算案には、日本の令和7年度の経済、財政、税制の全てが組み込まれています。それだけに野党の皆さんは「突っ込みどころ満載」で手ぐすねを引いて待っておられました。「臨時国会は当初予算審議の予行演習だ」という野党の幹部の声も聴きました。

立憲、維新、国民民主とそれぞれの協議

 予算委員会での予算審議が進むにつれ、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党のそれぞれの要求、狙いが明確になって来ました。

 野党第1党の立憲民主党は3兆8000億円規模の独自の修正案を提出しました。基金などの予算を削り、高額医療費制度の見直しなどを求めるものでした。責任野党として財源を示し、それに見合う予算をつくる、という事で政権を担える姿勢を示したものでした。しかし、私たち与党からすると、財源となる基金の取り崩しなどは、1年きりのもので恒久的財源にはなりません。そのため高額医療制度の見直しなども持続できるかどうかは分からない、というのが私たちの判断です。

【維新の教育無償化は財源的に可能に

 日本維新の会は昨年の衆議院選挙で教育の完全無償化を公約にして戦いました。今回も自民・公明・維新の3党協議で維新はこれまでの公約通りに所得制限なしに上限63万円の高校支援を主張しました。しかしこれでは財源として6000億円程が必要になります。最終的には令和8年度から、所得制限(910万円)を撤廃し、私立の加算額を45.7万円に引き上げることにしました。そして先行措置として令和7年度分については全世帯を対象とする支援11.88万円の支給について収入要件を撤廃することで合意しました。7年度予算の財源は1049億円になります。維新は政府予算も修正のうえ賛成することになりました。これで私たちも予算案成立のメドがつきホッとしたところです。

国民民主との協議は決裂

 国民民主党は昨年の選挙で、若者やパートの方々、サラリーマンの皆さんの手取りを増やす、という公約を掲げました。このため、これまで103万円以上の収入があると所得税が課税されていましたが、これを103万円と決めた1995年と比べて最低賃金が1.73倍になっていることから103万×1.73で178万円までの非課税を主張して来ました。

 自民、公明、国民の3党協議でも公約通り178万円を主張しました。しかし、これを実施すると178万~103万の65万円分に所得税が掛けられなくなり、1年間の税収減は7〜8兆円になります。我が国の公共工事費用が7兆円ですので、いかに財源に大きな穴が空くかが分かります。このため自民党はギリギリの税収減を計算して、1995年と物価上昇分を比較して非課税限度123万円を提示しました。しかし国民民主は納得せず席を立ちました。 最終的には公明党が160万円を提示しました。しかしこの仕組みは少し複雑で、所得層を200万円、475万円、665万円、850万円の4段階に分け、年収が少ない程、控除額(非課税ライン)を大きくする、というものです。年収200万円の家庭では37万円上乗せして160万円までが非課税となります。200〜475万円は30万円の上乗せで153万円です。年収850万円まではこれまでより控除額(課税ライン)が引き上がります。

 それでも国民民主は承服せず決裂、予算にも反対することになりました。

結局、自・公・維の賛成で可決参議院へ

 4日開かれた予算委員会で自・公・維などの3党賛成で令和7年度予算は可決しました。その後、税法の改正を総務委員会と財務金融委員会で行い可決、午後2時30分から始まった本会議に緊急上程され7党が討論を行いました。自民、公明、維新が賛成討論、立憲、国民民主、れいわ、共産が反対討論を行い記名採決の結果、賛成258票、反対201票で可決し、予算案は参議院に送られました。

 参議院では年度内に予算を成立していただくよう5日の朝、自民党の参議院国対委員長にお願いに行きました。年度内成立に向けて参議院の与党に頑張っていただくほかありません。

まだまだこれからも難題山積
 予算案は何とか可決しました。しかし少数与党は大変です。常に野党の要求に耳を傾けなくてはなりません。野党は国民の皆さんが喜ばれることを次々に打ち上げて来ます。私たちも出来ればその要望に応えたい。しかし、財源には限りがあります。私たちは今やっと財政の健全化に向けて歩き出したところです。国債は年々減らし、来年度予算の発行額は28兆円です。やたらと国債を発行して次やその次の世代に負担をかけてはいけません。また借金財政で日本の円の格付けを下げてもいけません。

 野党の皆さんは、財源は多少考えられているのでしょうが、私たちほど深刻には考えられていないと思います。今回の要望以外にもガソリン税の暫定税率廃止についても野党は合意をしています。こちらも約1兆2000億円以上の税収減が見込まれます。常に財源を考え、恒久的財源を確保しながら、負担軽減のためには段階的に国民皆さんの要望に応えていくべきであると考えます。これからまだまだ難題を抱えることになりますが、丁寧な対応と説明、国民の皆様に対する責任を果たして参ります。

【写真は予算委員会での採決と本会議での採決、そして予算案に賛成票を入れる私。更に予算可決後国会内の自民党控室に総理とともにお礼回り】