国会閉会中「地・こ・デジ特委」を開催
2023年07月06日
5日(水)午後1時から「地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」(橋本岳委員長)=通称「地・こ・デジ特委」が開催されました。閉会中に特別委員会が開催されることは珍しい事です。マイナンバーカードに関するトラブルが発生しているためにテーマを「マイナンバー、マイナンバーカード等」に絞って審議をしようと与野党が合意して開いたものです。同特別委員会の所管大臣は河野太郎デジタル担当大臣で、答弁も通常は河野大臣が立ち他の省庁に関する質問では副大臣以下が答弁するのですが、今回はマイナンバーカードと健康保険証の一体化や口座との紐付けが地方自治体職員の作業にも関わるため、質疑者からの要求があれば加藤勝信厚生労働大臣、松本剛明総務大臣も答弁に立つという特例にしました。
【主な問題点】
今回のマイナンバー、マイナンバーカードに関するトラブルは主に4点です。➊コンビニでマイナーカードを使い証明書交付をした際に他人の証明書が交付されたこと➋マイナンバーカードと健康保険証の一体化の作業の中で別人の情報が紐づけられていたこと➌マイナンバーに別人の公金受取口座を誤登録したこと➍児童手当など政府からの給付受取口座に親の名義で口座を登録したことです。その他にも他人の年金情報が閲覧される事例の発生、マイナポイント事業で別人にポイントを付与した事例などがありますが、主には先の4点です。
【野党からの攻撃】
4点のうち➊は情報通信機器メーカーの技術的ミスです。➍は児童手当をもらう時にはやはり親の名義を申請しがちですので、これは政府の説明不足です。その他は、ほとんど入力する際に確認を怠ったり、氏名や生年月日、住所など本人確認に必要な情報を入念に行うことなく登録したために同姓同名の方に紐付けされたりした、いわゆる「ヒューマンエラー」(人的ミス)です。
この中で野党側が最も問題視したのは「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」です。野党は「来年秋までに現在の保険証を廃止するとしているが何故無理な期限を決めて廃止するのか。現在の保険証を存続させて国民の皆さんの選択肢を広げておくべきではないか。また一体化の期限をもっと長期にとるべきではないか」と政府を批判しました。
これに対して加藤厚労大臣は「不安や懸念を払しょくしてメリットを理解してもらう。一体化すれば個人の様々な医療や投薬情報が医師にもわかるため、これまで以上の充実した診療が可能になる」と答えました。また健康保険証の一体化を拒否する方に対しては「資格確認書を交付して通常の保険診療が受けられるようにしている」と述べました。マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関してはこれまで約7000件の誤登録が報告されています。
【丁寧な作業と説明】
既に政府では「情報総点検本部」を設置してマイナンバーカードの総点検を実施しています。8月にも一定の結果が出る予定です。しかし国民の間に不安や不信感が広がっているのも事実ですので、ここは丁寧な点検と説明が必要です。
ただ野党が言うように、ここで現在使用している健康保険証も使用できるように認めてしまえば国民は敢えてマイナンバーカードと保険証の一体化をしなくなります。やはり「易きに流れ」ます。厳しい言い方ですが、ここは皆さん協力してマイナンバーカードと現在の健康保険証の一体化を進めるべきです。それでも期限までに一体化が難しくなった時に初めて一定期間の延長を打ち出すべきと考えます。今はいったん決めた方針に早々に白旗を挙げるべきではない、まずは初志貫徹の精神ではないでしょうか。
【デジタル国家になれるかの分岐点】
1億人以上の人口を抱える国で、マイナンバーカードをほぼすべての国民が持ち、健康保険証と一体化するという試みをした国はありません。日本がその先頭を切ってデジタル社会へ舵を切ろうとしている時です。ここは国全体が協力して来年秋までの一体化を実現させて見せるべきです。それこそが我が国の事務作業能力の高さやデジタル国家への意欲の強さを世界に示すことになります。
野党の主張には乗らず、歯を食いしばっても所期の目的を達成しようという意欲が必要な時だと考えます。
【写真は5日、審議中の「地・こ・デジ特別委員会」】