高病原性鳥インフルエンザが猛威

2022年12月07日


 6日(火)午前7時45分から自民党本部で「鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部」が開かれました。今年は例年になく鳥インフルエンザの発生が早く、全国各地で猛威を振るい、激増しているためです。既に15道県25事例(防疫措置対象27農場4施設)で確認されており約399万羽が殺処分されました。何とか防ぎたいところですが、渡り鳥がウイルスを運んでくるため、なかなか効果的な対策が打ち出せません。戦々恐々の中で養鶏農家はこの冬を迎えます。

 これまで最も鳥インフルエンザが発生した年は令和2年です。この年は11月から3月までに18県52事例あり、約987万羽が殺処分されました。令和2年は10月24日に野鳥から高病原性鳥インフルエンザが初めて確認され、その後、11月5日に鶏舎での発生が確認されました。しかし、今年は9月25日に野鳥に確認され、その後10月28日に鶏舎での発生となりました。発生ペース、殺処分数ともに令和2年度シーズンを上回って進行しています。

 農林水産省の疫学調査チームで現地調査などを行っていますが、通常なら高病原性鳥インフルエンザに感染した野鳥は死ぬのですが、今年はウイルスを保菌したまま飛来しているという見方も出ています。という事は野鳥にも免疫性が生まれ、ウイルスを一層広く振りまくという事になります。今後、冬場に向け鳥インフルエンザがさらに拡散していくことが考えられます。

専門家でつくる「家きん疾病小委員会」では緊急提言をしました。
 ➀適切に消毒や長靴の交換が出来ているかの再確認
 ➁農場敷地内や鶏舎周囲の消毒を毎日行うこと
 ➂猫やイタチ等の小動物や野鳥等が農場内に近づかないような対策
 ➃衛生管理区域に入る際の専用衣服の着用
などですが、ごく当たり前のことを綿密にやるという事以外にありません。

 それでも最近発生した鶏舎は最新鋭設備のクローズドシステムだったそうですので、相当細やかな警戒が必要です。養鶏農家の方々は夜も眠れない日々が続くと思います。

 自民党では早速、「完ぺきな防疫措置に対する支援」「水際の徹底」などを野村農林水産大臣に申し入れました。

 世界的な感染症は人間の「新型コロナウイルス感染症」だけではありません。鳥インフルエンザや豚熱、アフリカ豚熱など農業者にとって生活手段である家畜にも及びます。
 今後、新型コロナウイルス感染症に関してインバウンドの取り込みと経済の活性化のために入国制限が緩和されていきますので、ますます家畜動物への感染拡大が心配されます。

 薄氷を踏む思いの年越し、そして不安の中で新年を迎えることになります。

図は全国の鳥インフルエンザの発生状況