女性が残る地方でなければ少子化は防げない
2021年08月20日
20日(金)、午後4時から6時まで「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」(座長・佐藤博樹中央大学教授、構成員7人)の2回目の会合を開きました。昨年策定された「少子化社会対策大綱」を推進するに当たっての検証・評価をすると同時に来年夏頃に中間評価を取りまとめ、今後の少子化対策をさらに充実させていくための検討会です。
主催者である私がまず挨拶、続いて内閣府から大綱策定後の動きを説明しました。今回のテーマは「地方の実情に応じた少子化対策」などです。「地方公共団体の結婚・子育てに関する取り組み」「地方創生の観点からの少子化対策」を子ども子育て本部、まち・ひと・しごと創生本部が報告しました。
そして構成員の一人であり、民間シンクタンクで少子化対策を研究されている天野馨南子さんから「少子化の真因必携データと立ち上がる地方の自治体結婚支援」というテーマでプレゼンをいただきました。
天野研究員は詳細なデータを使いながら➀少子化のバロメーターは出生数の減少であり合計特殊出生率ではない、➁我が国の出生数激減の最大要因は婚姻数の激減である、➂18歳から34歳の若者の結婚意志はこの30年以上変わらず強い、➃日本の男性の未婚化が深刻である、など少子化の真因を挙げられました。
天野さん分析は
「女性が少なくなれば出生率は上がるから、あくまで、出生数で見なければならない」
「晩婚化などが言われているが、統計的には若者の結婚意志は30年以上変わっていないので、いかに結婚支援をするかが重要である」
「とりわけ女性が都会に出て行き男子が地方に残り、そして男性の未婚化が増えている。女性にとって魅力ある地方にしなくては、現在の傾向は続く」
「それだけに地方自治体型結婚支援センターの役割が大切である」
というものでした。
そして「婚姻数の激減が出生数数を減少させているという重大な事実に気づいていない。地方自治体において20代女性が男性を大きく上回る県外流出が続く中で、地元に残った女性の指標に過ぎない地元の合計特殊出生率が未だに重視されていることは大きな誤解である」として3点の提言をされました。
(1)地域経済活性化、後継者支援として行政だけでなく地域経済界を巻き込んだ結婚支援。
(2)地元同士の結婚マッチングでなく広域的なマッチングの必要性。
(3)古い家族価値観に基づく労働市場の改革を進め、IT環境の向上を図る。
です。
私も最後の締めの挨拶で「地方育ちの私としては提言の3点、なかんずく家族的価値観と労働市場の改革は痛いほどよくわかる」と付け加えました。
少子化対策は、地方の社会的改革、経済・生産性改革、意識改革なども深く関係していることを知らされました。