謎だらけの生き物ウナギ
2021年08月10日
10日(月)午後1時から水産庁のレクチャーを受けました。内容はウナギについてです。私が「養鰻振興議員連盟」の副会長をしている事からレクがあったものです。ウナギについては課題がたくさんあり、どのようなレクだろうかと楽しみにしていました。
ウナギは謎の多い生き物です。
『謎1』ウナギの稚魚であるシラスの価格が全く安定しない。
『謎2』価格は1キログラム(手のひら一杯)40万円ほどの時もあれば200万円する時もあり、流通過程が不明。
『謎3』各県の河川によってシラスの捕獲許可状況が違う。
『謎4』二ホンウナギそのものの生態がまだ判明していない。産卵がマリアナ海溝付近という事まで。何を食べているのか、どのようにして日本の河口まで来るのかも不明の点が多い、などです。
そんな謎だらけのウナギを、日本人は江戸時代から本格的にかば焼きにして、うな重やうな丼、ひつまぶしにして食べています。関東は背切りの蒸し、西日本は腹切りの焼、と調理法は少し違いますが、きれいにさばいて濃厚なかば焼きにして夏のスタミナ食という食文化を持つのはわが国だけです。最近は中国でも人気が出てコロナの前のウナギ店は中国の方々であふれていました。
私も小さいころから近くの川で夜に仕掛けをして朝取りに行き、それを自分で料理して食べていました。頭に釘を刺し、ぬるぬるしたウナギをきれいに腹から割っていきます。中学生の頃です。このように器用な芸当ができるのは日本人しかいないと思います。
ところで、本日のレクは「水産流通適正化制度検討会議の取りまとめの方向性」、つまりシラスの価格が決まる流通経路を透明化する事、そのためにはシラス採捕を各県の知事許可にして罰則も厳しくして価格を安定させるという事でした。
日本人が食べる二ホンウナギは減少し、IUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種、レッドリスト候補になりました。絶滅危惧種に指定されると私たちは日本ウナギの蒲焼を食べられなくなります。このため数年前に私たちも議論してウナギの保護を徹底させるため「漁業法」を改正しました。それまでシラスの違法採捕は罰金10万円だったものを3000万円にしたりして、国際的に資源の保護をアピールしました。このため国際的絶滅危惧種からは何とか免れ、今もかば焼きを食べられます。
この日は「改正漁業法」が令和5年12月から適用されるため、法の施行を機に不透明感が強いシラスの価格を安定化させる、というものでした。
また三重県にある国の水産センターで天然のシラスに頼るのではなく人工ふ化をさせ一貫して人工養殖する実験が行われています。私たちが4年ほど前に視察しましたがまだビジネス段階ではありませんでした。その後の進み具合を尋ねましたら、こちらもなかなか進まないようです。人工ふ化したシラスに「アブラツノザメ」というサメの卵をポタージュ状にして餌として食べさせるのですが、このアブラツノザメが絶滅危惧種になりつつあり、非常に高価で今のままだと1キログラム1000万円以上のコストがかかるとか。天然シラスの10倍です。
謎の多いウナギは、やはり謎に包まれ、人口養殖で私たちの口に容易に入るのははまだまだ将来の夢の様です。