日本農業・農村のあるべき方向は?

2019年06月06日

 昨日、自民党の「国際競争力農業人材の育成に向けた議員連盟」が開かれました。この議員連盟は海外の農業を研修するために留学した経験を持つ人たちでつくる「国際農友会」とともに結成しているもので、日本の農業を国際的に強くするための対策を考える会です。
 昨日は2017年3月から1年間オランダの有機農家に研修生として派遣され、現在自ら有機農業を展開し、販売においても小規模なポケットマルシェ(市場)や自治体とのファーマーズマーケットなどを企画、神社入り口で朝一などを展開されている、茨城県常陸太田市の石川歩さん(27歳)の話を聞きました。
 その中で私が石川さんに「オランダから帰って、改めて日本農業を見て、良いところ、これから学ぶべきところは何か」と聞きましたら次のような答えが返ってきました。
 「日本の農業技術は凄い。一つのことを追い求めここまでやるかという、名人的なものを作り出す力がある。しかし、全体を見てそれが経営的にどうか、環境に負荷を与えていないか、など全体を見渡す力には欠けていると思う」という趣旨のことを言われました。
 現在、農業やICTの分野の政策作りをやりながら、まさに石川さんの言うことは当たっていると感じました。
 世界一の「和牛」をつくるためにどれだけのエネルギーを使ったか。そしてそれは世界に広まり、日本に来て、ステーキ屋さんで食べるその味に世界の人が驚嘆します。しかし、世界への販売戦略においては、既に「和牛」はオーストラリアなどが商品登録をして、シンガポールやマレーシア、アメリカで販売されています。技術力で「和牛」はつくり上げたものの、美味しいところを海外勢に持っていかれています。そして和牛の繁殖農家もこれだけ子牛の価格が良いにもかかわらず減少しています。
 情報通信分野も、日本人が使うための使いやすさを追い求めるに固執して、結局日本でしか通用しないいわゆる「ガラケー」(ガラパゴス携帯)になってしまい、世界の流れから遅れてしまいました。
 「着眼大局着手小局」という言葉が我が国にはあるにもかかわらず、どうしても世界を見据えた発想や全体を見渡す力はなかなか育たないのが現状です。
 国際基準や国際的な流れ、経営など全体を考える目をしっかりと掴み、育てるためにには「世界を常に意識する不断の努力」が必要、ということを思い知らされます。