豚コレラ対策に悩む
2019年05月17日
昨日は岐阜県と愛知県で発生している、豚の法定伝染病「豚コレラ」に対して、日本養豚協会と養豚獣医師会から「早急にワクチン接種を実施してほしい」という陳情を受けました。これまでも再三にわたって、豚へのワクチン接種の要望は受けてきました。
しかし、もしワクチン接種となると、かつて10数年前に我が国で豚コレラが発生し、ワクチンを全豚に打ちましたが、それによって日本が豚コレラの汚染国になり、豚の輸出などができなくなりました。わが国は10年以上かけて、豚コレラを発生させない飼養管理を徹底させ、やっと清浄国になっています。
ワクチン接種となるとまた汚染国に戻ります。それと一番心配なのは、そのことで、豚肉への誤解が広がり豚肉の価格が暴落する恐れがある、ということです。
牛肉の場合は、すべての牛肉にトレサビリティ―(肉の履歴書)がついています。かつて法定伝染病である口蹄疫が宮崎を中心に発生したときは、ワクチンを打ち、その肉も販売に出回らないようにすべてを殺処分しました。ワクチンを打ったうえで、なおかつ肉への誤解が生じないように殺処分したのです。
今回の場合も、同様にワクチン接種ともなると、消費者は敏感になります。少なくとも国産豚の価格は一気に下がります。その後取り戻せばいいのですが、輸入豚が持続的に主流を占めるようになると、日本養豚の再生は難しくなります。今、国産豚肉と輸入豚肉の割合は50%対50%です。わが国の養豚農家数は約7500戸。この自給率と農家戸数は維持したいところです。
ただ前回の豚コレラの時と状況が違うのは、豚コレラを媒介するのがイノシシということです。全国的にイノシシが増えていますのでこれが一番怖い。イノシシに対して餌にワクチンを混ぜて、イノシシに抗体をつくっているのですが、この効果を少し見極めなくてはなりません。
養豚農家にとっては戦々恐々の毎日だとは思いますが、今後のことを考えると悩んでしまいます。ただ養豚農家が困らないように財源の確保はしっかりとしていきます。