さんぽれ

2006年03月02日

 春が近いというのに、ご逝去される方が後を断ちません。昨日も大津町でかねて敬愛する方が二人お亡くなりになりました。うち一人は49歳、気鋭の実業家でした。大変優秀で私も期待していましたが、癌という病にはどうしようもありませんでした。
 またもう一人の方も73歳ではありましたが癌でした。今や死亡者のダントツを、占める癌。癌対策に国家を挙げて取り組むべきと思います。日本のがん予防、がん対策、がん治療、がんに対する医療システムは遅れています。一昨日もがんと宣告されている私の友人が、「厚生労働省、早急ながん対策を」という自分で作ったチラシを持ってきてくれました。これから、自らのワゴン車にがん対策の実施を書いて走り回るそうです。私もがん対策の遅れは感じていましたが、改めてがん対策について勉強しながら訴えて生きたいと思います。
 昨日の葬儀。古荘信一さん(73)という方でした。からいも一筋。お父さんがからいもを今のようにおいしいからいもにした方で「大津のからいもの神様」と呼ばれた方です。亡くなられたからいもの二代目、信一さんも「良い作物は土づくりから」と土壌改良に取り組まれました。また、からいもは長期の保存が出来なかったのを、土でカマクラのようなものを造って、からいも貯蔵庫を開発された方で、からいもの発展には大変な功績があった方でした。現在は三代目の息子さんがおじいさん、父親の意思をついでおいしいからいも作りをしておられます。
 亡くなられた信一さんが、亡くなる前、中学生の孫さんをベッドの近くに呼んで「さんぽれ」と言われたそうです。孫さんは何のことか分かりませんでしたが、息子さんはお父さんからよく話を聞かされていましたので、家に帰って息子さんに「さんぽれ」の意味を言ってあげたそうです。
 「さんぽれ」。「仕事に惚(ほ)れろ」「地域に惚れろ」そして「女房に惚れろ」、だそうです。いい言葉です。熊本県農業のパイオニアで信一さんが師事された故松田喜一先生の座右の銘だそうです。息子さんが葬儀のお礼の挨拶で披露してくれました。私たちにも肝に銘じなければならない「さんぽれ」と思います。きっと遺言として聞いた中学生のお孫さんも「さんぽれ」の言葉をしっかりと将来実践されていくことでしょう。
 明朝の辻立ち7時半菊池、8時過ぎ大津。